高卒2年目の日本ハム野村佑希内野手(20)が、4日西武24回戦(メットライフドーム)で右手小指の骨折から復帰後、初アーチを架けた。

大量ビハインドの3回、意地の3号2ランを左翼芝生席中段へ運び、敵地ファンをざわつかせた。2試合連続で打点をたたき出し、得点圏打率は3割0分8厘。11月の月間打率も3割3分3厘と、未来の中軸候補のアピールが、止まらない。

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敵地ファンのどよめきの中、優美な放物線を左翼芝生席に架けた。ゆっくりダイヤモンドをまわる日本ハム野村の表情は、硬いまま、ぴくりとも動かない。「甘く入ってきたボールを、しっかり1球で仕留めることができて良かったです」。本塁付近で待っていた清宮に笑顔で迎えられ、ようやく白い歯がこぼれた。

反撃の号砲を鳴らしたのは、3回だ。0-8と大量リードを許して沈鬱(ちんうつ)ムードの空気を、一振りで払った。右前打で出塁した清宮を一塁に置き、迎えた第1打席。「積極的に打ちにいこうという気持ちで打席に入りました」。西武ニールの初球、高めに浮いたスライダーを逃さなかった。7月5日ソフトバンク戦(札幌ドーム)以来、約4カ月ぶりのアーチ。積極性が、結果につながった。

守備中の右手小指の骨折から、10月下旬にようやく復帰。もともと野球のことになると、試合中ですら「いろいろ考えてしまう癖があった」という。迷いや不安で集中力を欠いたことが、故障につながったと反省している。復帰後、なかなか状態が戻らない中、吹っ切れたのは、小笠原ヘッド兼打撃コーチの「結果は求めすぎなくていい。やろうとしていることを、打席の中でやってくれればいい」という言葉があったからだ。

「出来ないことは、出来ない。自分の頭がクリアになった」と野村。ここ3試合で3失策を記録したものの、打撃できっちり取り返し、得点圏打率は3割0分8厘。11月の月間打率は3割3分3厘に。栗山監督は「良かったね。ジェームス(野村)らしい。守りでミスもしてくれているし、すごくいいね。若い人たちはミスをしないと、試合で覚えないから」と、独特の言い回しで、20歳の成長を褒めた。残り2試合。勝負強い打撃で、どこまで輝けるのか注目だ。【中島宙恵】