ソフトバンク柳田悠岐外野手(32)が「無敗弾」でチームに日本新となるポストシーズン11連勝を呼び込んだ。2点を追う4回無死、中越えに推定飛距離145メートルのソロを放ち反撃ののろしを上げると、6回無死では中前打で同点劇を演出した。ポストシーズンでは自身8本目の本塁打となり、打った試合はチーム8連勝。主砲の1発から逆転勝ちし、日本シリーズ進出に王手をかけた。

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信じられない軌道だが、もはや見慣れた放物線だ。2点を追う4回無死。柳田はロッテ美馬の低めいっぱいの変化球をすくい上げた。外野フライに見えるような高い弾道で、打球の勢いはどこまでも落ちない。そのままテラス席どころかフェンスも軽々と越えて、バックスクリーン左のスタンド中ほどまで飛んだ。推定145メートル弾に「打ったのはカットだと思います。自分のいいスイングで打てました」とうなずいた。

工藤監督も「彼にしか打てないホームラン」と評した豪快な1発から、劣勢のチームが息を吹き返す。同点劇も柳田からだった。再び2点差となった6回先頭で、美馬から3安打目となる中前打でチャンスメーク。相手ミスなども絡んでこの回2点を奪い、一気に追いついた。

チームは接戦を勝ちきり、ポストシーズンでは昨年のCSファーストステージ第2戦から11連勝。75、76年の阪急を上回る日本新記録になった。指揮官は「あまりそこを気にしているわけではないのでね。1戦必勝で、どんな結果になっても引きずることなくやっていきたい」と冷静に、気を引き締めるように話した。

柳田は、ポストシーズンでは14年日本ハムとのCSファイナルステージで初アーチをかけて以来、これが8本目。18年には西武とのCSファイナルステージで2本塁打を打ちMVP。同年広島との日本シリーズではサヨナラ弾もマークした。打った試合はすべて勝っており、無傷の8連勝になった。

左膝裏のケガで不完全燃焼だった昨年から巻き返す思いの通りに、今季の欠場は1試合だけ。故障離脱なく日本一まで走りきれば14年以来のことだ。「ミスター・ポストシーズン」が4年連続日本一までチームを先導する。【山本大地】

◆CSの主なルール 今季はパ・リーグだけ実施し、優勝のソフトバンクと2位ロッテが対戦。ソフトバンクの本拠地ペイペイドームで開催する。ソフトバンクにアドバンテージの1勝が与えられ、4試合制で勝利数の多いチームが日本シリーズに進出。引き分けを除いた勝利数が同じ場合はソフトバンクが進出する。延長戦は10回まで。10回表終了時や10回裏の攻撃中に後攻の勝ち上がりが確定した場合、その時点でコールドゲームとなる。