さらなる進化へ。広島坂倉将吾捕手(22)がマツダスタジアムでの秋季練習で、打撃改革に取り組んでいる。今季は自己最多の81試合に出場し、2番手捕手の座をつかんだ。課題を残した守備面だけでなく、一定の結果を残した打撃面でも自らに変化を求める。チームの取り組みととともに、新たな感覚をつかもうと、今秋もバットを振り続ける。

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懸命に駆け上がったシーズンを終え、坂倉は冷静に今季を振り返りながら自分自身と向き合っている。16日からの秋季練習。今季、捕手としては6捕逸を記録。キャッチングの向上に重きを置き、打撃ではチームとして取り組むポイントを近づけて反対方向へ打ち返す打撃を繰り返している。

「今年はどちらかというと自分(の実力)で出た、というよりは、使ってもらった。打撃に関しては今の技量や考え方ではマックスの成績だと思う。何かを変えてやらないといけない」。

今季はプロ初のスタメンマスクを飾り、正捕手会沢に次ぐ55試合で捕手として出場した。計81試合に出場し、打率2割8分7厘、3本塁打、26打点。飛躍のシーズンとなったが、手応えはない。捕手としての課題克服とともに、持ち味である打撃面の変革を求めている。

秋季練習ではチーム全体で反対方向への打撃が徹底されている。ポイントを近づけることで進塁打を増やすだけでなく、三振を減らして四球を増やす効果も期待できる。坂倉もヒントを探っている。「長打を求められるところもある。今年は逆方向にヒットは打てても、長打は打てなかった。逆方向に長打が出れば、もっと率も残るだろうし、本塁打、打点も増えてくると思う。窮屈感はあっても窮屈にならないようにしたい」。新たな感覚を体にたたき込んでいる。

昨年のフェニックスリーグや秋季キャンプでは、早出や特打に加え、自主メニューを課した。今秋は練習場所も練習時間も限られる。「(自主トレ期間の)オフもすぐに終わってしまう。だから今は技術面。その中で新たな発見から0・何ミリでも兆しが見えれば楽しいオフになるだろうし、新しい思いでキャンプに入れると思う」。まだ22歳。今季終盤、疲労から下半身に影響が出たことからウエートトレーニングを継続しながらも、貪欲に自己鍛錬に励む。戦いの終わりは、新たな戦いの始まりを意味する。【前原淳】