中日木下拓哉捕手(28)が26日、ナゴヤ球場で契約交渉に臨み、今季1200万円から増額提示を受け、希望額と開きがあったため保留した。予定の30分を大幅に超えて約2時間30分に及んだ交渉後、木下拓は「もめたとかではありません。キャリアハイの88試合出場とか、初めてのことが多かったので」と説明。今オフの契約更改では12球団の保留1号となった。

今季は自己最多の88試合に出場し、チーム最多の74試合で先発マスクをかぶった。盗塁阻止率はリーグ1位の4割5分5厘。打撃でも打率2割6分7厘、6本塁打、32打点と勝負強さを見せた。正捕手争いでアピールし、8年ぶりのチームAクラス入りに貢献。7月3日の巨人戦からエース大野雄と18試合でバッテリーを組み、11勝、10完投(6完封)をサポートした。女房役として2年連続の最優秀防御率、初の最多奪三振、沢村賞に導き、大野雄と最優秀バッテリー賞にも選ばれた。

木下拓は事前に査定内容、金額提示について説明を受けていたが、交渉はまとまらなかった。加藤球団代表は「彼は攻守で活躍してくれたが、規定打席に到達していない」と例年の査定制度にのっとったものだと強調した。新型コロナウイルス感染拡大の影響でチケット代、球場での飲食、物販などによる収益が減少した厳しい経営状況を踏まえ、「今季は保留しても提示金額を変えることはできない」とした。近日中に2度目の交渉が行われる。(金額は推定)【伊東大介】