海外フリーエージェント(FA)権を持つ日本ハム宮西尚生投手(35)が4日、札幌市内の球団事務所で記者会見を行い、権利を行使せずに残留することを表明した。出来高払いを含む2年総額6億円で球団と合意。

来季はセットアッパーとして栗山英樹監督(59)を5年ぶりの日本一監督にすることと、元中日の岩瀬仁紀氏(46)が持つ2つの日本記録更新もあらためて誓った。(金額は推定)

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国内FA権を取得した14年オフを皮切りに2年ぶり4度目となった残留会見。宮西は笑顔で言った。

宮西 前回(18年オフ)、前々回(17年オフ)と言っています通り、もう肘がぶっ壊れるまではファイターズにささげよう、と。また新たに、その覚悟でやっていきたいなと思います。

18年オフにも2年総額5億円で合意したが、年齢を重ね36歳で迎える来季からさらに2年総額6億円で契約を結んだ。「コロナで世界が不況の中、最高の評価をしてもらった。うれしかった」と球団の最大限の誠意に感謝した。

2年契約最終年だった今季終了後、これまでのプロ野球人生を振り返った。「栗山監督が就任されてから、自分は何試合投げたんだろうとか見返した。しっかり投げさせてもらいましたね」。12年に栗山監督就任後は504試合に登板し、ちょうど300ホールドを記録。栗山監督の期待に応え、支えてきた。

宮西 それは感謝しかないですし、栗山監督だったからこそ今の数字、ホールドの記録というのがあると思っている。また監督が続投されるので、もう1回、監督を日本一の監督にしたいなという思いです。

指揮官を5年ぶりに日本一監督にすることが恩返しと自負する。今季はシーズン途中にクローザーも務めたが「僕が今からクローザーをやっていてもチームのためにはならないと思っている」とセットアッパーとして覇権奪回に貢献するつもり。「(守護神は)空いている状態なので、今の若い子は死ぬ気で取りにこないといけない」と若手にはハッパをかけた。

「衰えはあるよ~」と笑い飛ばすが、日本一奪回とともに偉大な記録を塗り替えることもモチベーションとなる。「岩瀬さんの記録は絶対に目指したい」。今年、プロ入りした08年から13年連続となる50試合以上を記録。2年契約を結んだことで元中日岩瀬が持つプロ野球記録の15年連続50試合登板に22年に並び、新球場が開業する23年に新記録を達成する期待も膨らむ。同様に最多記録の通算1002試合登板(あと269試合)に近づいていくことも大きな目標となる。「その頃も若いヤツには負けないぞという強い思いもある」。生けるレジェンドは、まだまだ先を見据えている。【木下大輔】