広島森下暢仁投手(23)が17日、都内で行われた「「NPB AWARDS 2020 supported by リポビタンD」で、セ・リーグの最優秀新人賞を受賞した。球団では14年大瀬良以来、10人目。開幕から先発ローテーションとして、18試合に先発。チームトップの10勝(3敗)に加え防御率はリーグ2位の1・91と新人離れした成績を残した。来季はさらなる飛躍を目指す。

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森下が悲願のタイトルを手にした。ピンク色のネクタイに紺色のスーツをビシッと着こなし晴れ舞台に登場。表彰式の壇上では、マウンド上のように堂々と喜びと感謝の言葉を並べた。

「本日この場で、この賞をいただくことができ、本当にうれしく思います。たくさんの方々にサポートしていただき、1年間野球をすることができました」

昨年のドラフト会議で広島から指名を受けた直後に森下が発したところから始まった。「新人王を目指します」。コロナ禍で開幕が度重なる延期になる異例の1年目にも動揺することはなかった。「開幕が遅れた分、その期間でチームメートの方、首脳陣の方々とコミュニケーションを取ることができて、自分の中ではスムーズに入れた」。試合を重ねるごとに、即戦力右腕の実力を発揮した。

1年目の成長点として「周りを見ることができるようになった」と自己分析する。「負けた試合などは自分の世界に入って投げていた。それではよくないと思った」。試合で投げるごとに経験を積み、打者だけでなく、味方の守備位置なども視野に入れ、心にゆとりを持って、終盤は試合に臨んだ。「投手だけでなく、みんなで戦っている」。力投を続ける右腕にナインも奮起し、チーム一丸で勝ち星を重ねることができた。

巨人戸郷と激しい新人王争いを繰り広げた。「序盤に勝ち数で負けていたので、終盤は投げる試合で全部勝って、逆転するんだという気持ちでやっていました」。シーズン終盤は沢村賞を獲得した中日大野雄と、最優秀防御率を競った。右腕は「大野さんみたいなすごい方と争うことができて、これからの自信になりました」と胸を張った。

2年目はより大きな期待を背負って戦うことになる。「来季は今年以上の成績を残せるように取り組みたい。まずはスタートが大事。良いスタートが切れるようにしっかり準備したい」。黄金ルーキーから、球界を代表する右腕へと階段を駆け上がっていく。【古財稜明】

【広島森下1年目の歩み】

◇6月21日 DeNA戦(横浜)でプロ初先発初登板。7回4安打無失点の好投も勝ち星つかず。

◇同28日 中日戦(ナゴヤドーム)で8回2/3を投げ3失点でプロ初勝利。

◇7月10日 コンディション不良で出場選手登録抹消。

◇7月23日 1軍復帰。

◇8月14日 阪神戦(京セラドーム大阪)でプロ初完投初完封勝利。

◇10月24日 DeNA戦(横浜)で9回1失点(自責点0)で2度目の完投勝利で、球団では97年黒田博樹以来、セ・リーグ5球団から白星達成。

◇11月1日 中日戦(ナゴヤドーム)で8回無失点と好投し、球団新人では14年大瀬良以来の2桁勝利。規定投球回到達の新人で2桁勝利と防御率1点台は66年堀内恒夫(巨人)以来の快挙。

◇11月18日 10、11月度の「大樹生命月間MVP賞」を受賞。球団新人では98年の小林幹英(4月度)以来22年ぶり。