オリックス宮城大弥投手(19)は、21年の目標を迷いなく「新人王」と記した。「先発として1軍に定着したい。けがなく定着できたら自然と(新人王を)狙える位置にいける。できれば開幕から上にずっと居たいと思っています」。成就するには開幕ローテ入りが必要と分かっている。

ドラフト1位で入団した昨年は3試合に先発して1勝1敗、防御率3・94。11月6日の日本ハム戦で12球団の高卒新人で唯一の白星を挙げた。話題で先行されたロッテ佐々木朗やヤクルト奥川、阪神西純らより早かったが、「自分なんて、まだまだ」と慢心はない。

その試合は本拠地最終戦で、先輩捕手が花道を飾る日だった。「(山崎)勝己さんの引退試合だったので、普段の2倍ぐらい緊張しました」。2軍で配球面などを教えてくれた山崎勝から試合後、ウイニングボールを手渡された。「自分が受け取っていいんですかと聞き返しました。そうしたら『親にしっかり渡すんやぞ』と優しく言っていただきました」。新陳代謝、競争の激しいプロの世界で記憶に残る1勝目となった。

1年目を「けがなくできたのが大きい。内容の濃い1年になりました」と振り返る。2軍では13試合に登板。ウエスタン・リーグ最多タイの6勝(2敗)、防御率2・72と実戦経験を積み、体作りも進めた。

その中で発見があった。「プロの世界は意識の違いですね。(自分は)あまり何も考えずに投げていました」。フォークの習得に着手し、現在は投球プレートを踏む位置にも意識を置く。「一塁側を踏んでいたんですが、左打者の内角に投げにくさがあった。内側も必要となった時に、酒井(育成)コーチ(現メンタルコーチ)に教わりました。基本は一塁側なんですけど、左打者には三塁側を踏むようにしました。まさか投げる前の動作からプレーが始まっているとは考えたことがなかったので、勉強になりました」。

伸びしろと可能性の塊は果たして、山岡、山本、田嶋の先発3本柱を追いかける存在になりうるのか。宮城の2年目が始まる。【取材・構成=真柴健】