井上よ、はい上がれ! 阪神矢野燿大監督(52)が8日、高卒2年目の井上広大外野手(19)にゲキを飛ばした。今季初の対外試合となる9日の練習試合・日本ハム戦(宜野座)に「9番DH」で先発予定。7日の紅白戦では決勝適時打を放ったが、指揮官は「一番下から。そんな甘くねえぞ」とハッパをかけた。今キャンプでは自ら打撃指導するなど成長を期待する若き主砲候補に、奮起を促した。

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2軍では英才教育の4番起用だが、1軍は違う。今季初の対外試合。2年目井上は先発メンバーに名を連ねたが、打順は最下位。「9番DH」だった。そこには矢野監督の愛のムチがあった。

「一番下から。そんな甘くねえぞ」

昨季はウエスタンリーグで出場69試合で4番を張った。今回は1軍キャンプで野手最年少での参加。将来の主砲候補の逸材には違いない。7日の紅白戦では決勝適時打も放った。しかしプロの世界は厳しい。下克上指令を課し、さらなる成長を促した。

指揮官の思惑に反応するかのように、井上は力強くバットを振った。フリー打撃で、4連発を含む16本の柵越え。6日には矢野監督から打撃の密着指導を受け、7日の紅白戦では決勝タイムリー。「レフト方向の打球は切れる打球が多かったんですけど、きれいに真っすぐ打球が飛ぶようになった」と手応えを隠さない。「(年齢が)一番下で若いですし、はい上がる。自分が脅威になる。そうすればチームの底上げにもなると思う。自分はそういう立場」と矢野監督のゲキも前向きに受け止めた。

この日は野手の「一日主将」も務め、ピンクのユニホームに袖を通した。朝の声出しでは「タイガースファンを、この若き19歳が喜ばせられるように頑張ります!」と宣言。指揮官は「広大はすごく良くなった。見ていて怖い。間違ったらホームランいくなっていうポイントとタイミングで振れている。音もすごい良かったし」と、この日の打撃にほめることも忘れなかった。「カッコいい大賞」も「広大でいいんじゃない」と選出した。

日本ハム戦ではドラフト1位佐藤輝が2番、4番は大山だ。猛虎の未来を担うスラッガーたちのそろい踏み。9番井上に要注目だ。【只松憲】