これぞS班の実力だ。巨人が22日、那覇キャンプで特別ルールの紅白戦を行った。東京ドームと那覇でキャンプを送り、調整を一任されてきた主力組のS班にとっては今季初実戦。宮崎キャンプをへてアピールを狙う若手組と違い、この時期の結果は参考外。しかし、細部にまで行き届いた準備と試合の進め方に、百戦錬磨の強者たちのすごみが凝縮されていた。

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S班の白組が陣取る一塁側ベンチから、白いユニホームが勢いよく飛び出してきた。3回裏、9番吉川がカウント3ボールからフルスイング。打球が左翼席の芝生で弾んだ瞬間、ウィーラーを筆頭に歓喜の雄たけびが沸き上がった。宮崎キャンプ組から唯一加わった岡本和とS班の面々が、拍手で吉川を出迎えた。試合はこのソロ本塁打の1点で、白組の勝利。「S班の勝ちやで! ナイスゲーム!」。坂本主将の明るい声に、ベンチが沸いた。

結果を問われない紅白戦とはいえ、闘争本能がうずいた。3回にドラフト4位伊藤優輔投手(24=三菱パワー)が登板すると、ベンチ内では亀井が、ベンチ前では梶谷がタイミングを計った。梶谷は3回に四球で出塁後、2度のけん制に頭から帰塁し、カウント2-2から二盗を成功。「行く気はなかったけど、投手のクイックを見た時に『あ、行けるな』と思って。誘惑に負けました」。体に染みついた次の塁を狙う意識が足を動かした。1番梶谷から坂本、丸、岡本和と並んだ理想のオーダーに、原監督は「やっぱり迫力がありますよね」と目を細めた。アピールを狙う宮崎組の勢いを、圧倒的な存在感で打ち消した。

にもかかわらず、誰も満足していない。1発を放った吉川が「もっとがむしゃらにアピールしていかないといけない立場」と言えば、無安打の岡本和は居残り特打で振り込んだ。指揮官は「全体的に野手もしっかり走れているし、振れているし、フィールディングもできているし、いい感じだと思います」とうなずいた。

昨季までDeNAの一員として対戦してきた梶谷は、S班の雰囲気をこう評した。「みんなが面白いことを言ったり、掛け合いのギャグセンス高いなと思いながらやってます。坂本勇人、丸、銀さん(炭谷)あたりはワチャワチャやってるなというのはあります。僕の中でジャイアンツにそういうイメージがなかった」。明るく、厳しく、真剣に-。巨人の主軸が王道のスタイルを貫きながら、着々と準備を進めていく。【浜本卓也】

▽巨人戸根(紅組先発で2回2安打無失点)「四隅を狙っていこうと桑田コーチと話をしていた。次の試合はどんどんストライクゾーンで勝負していきたい」

▽巨人石川(実戦での捕手は高校以来で)「難しいです。レベルも全然違う。すんなり入れるわけではないが、任された以上は一生懸命やりたい」

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