ソフトバンクの攻守の要が戻ってきた。両ふくらはぎのコンディション不良で別調整していた今宮健太内野手(29)が、1軍合流初実戦でマルチ安打を決め、「開幕OK」をアピールした。今年初めて有観客で行われたオープン戦初戦の中日戦に2番遊撃で出場。実戦は約半年ぶりだったが、3895人の前で13安打14得点の大勝を導く活躍を見せ、工藤監督やファンを安心させた。

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復帰戦から全開だった。ソフトバンク今宮のバットが、いきなり火を噴いた。21年の初実戦がチームのオープン戦初戦。キャンプ序盤で両ふくらはぎのコンディション不良でA組(1軍)離脱したが、じっくり調整し、この日に照準を定めてきた。そしてしっかり、結果を残した。

今宮 キャンプでは、序盤から不安だったけど時間をいただいて、戻ってこれた。今季は結果にこだわっていくと言っていたので、初戦からいい形で入れた。

初回の第1打席は、笠原から右翼へ強烈なライナーを放った。平田の好捕に阻まれたが、会心の一撃だった。その後の第2、第3打席は連続で左前安打。結果は3打数2安打だが、内容的には“猛打賞”だった。昨季は8月20日に左ふくらはぎを痛めて戦線離脱した。実戦は昨年8月19日のロッテ戦(ZOZOマリン)以来、約半年ぶり。守備機会はなかったが、両ふくらはぎの不安はまったく感じさせない動きを見せた。「足の状態は大丈夫」と手応えの笑みを浮かべた。

キャンプ中、B組(2軍)のシート打撃で安打を放った際、こう話していた。「みんなで野球ができる楽しさがあらためて分かりました。いち早く戻りたいという気持ちになった」。キャンプ中はもちろん外出せず、復帰に万全を期した。

工藤監督もチームの要の復活に笑みが絶えなかった。「打撃練習からいい感じで試合も同じだった。足の不安はないと思えました」。オープン戦から参戦のプランもピタリとはまった。

コロナ禍の影響でキャンプは無観客だったが、初めてペイペイドームに3895人を入れ、オープン戦を行った。ファンお披露目試合での大活躍。「結果を残して、開幕ショートを守っていられるように頑張りたい」。今宮の視線は、開幕戦で目指す守備位置に向いていた。【浦田由紀夫】