矢野阪神が佐藤輝を右翼に据え、一塁マルテ、左翼サンズの超強力オーダーで開幕を迎えることになりそうだ。14日の巨人戦で無難に右翼をこなした佐藤輝に矢野監督が合格点を与え、4番三塁大山を中心とした重量打線が完成した。佐藤輝は16日、開幕と同じ舞台の神宮でのヤクルト戦で、1972年(昭47)の佐々木恭介(近鉄)以来となるオープン戦の新人5号に挑み、ツバメ倒リハを敢行する意気込みだ。

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佐藤輝のV弾で宿敵巨人に勝った14日のオープン戦では、もうひとつ大きな収穫があった。右翼2戦目の佐藤輝に7つ飛球が飛び、難なくさばいた。矢野監督は「ソツなくこなしている。甲子園の右翼って浜風が吹いたり難しい球場。そこでテルが右翼をできるとなれば、(他の右翼候補より)肩の強さもテルの方が強いんで」と合格点を与えた。

9日の広島戦から5試合3番マルテ、4番大山、5番サンズ、6番佐藤輝と並べた。3試合はDHを使ったが、13日西武戦からは佐藤輝を右翼、マルテを一塁、サンズを左翼に入れた。来日未定の新外国人ロハス・ジュニア(30=韓国・KT)が来るまでは、サンズとマルテを最大限に生かしたい。佐藤輝の強肩は、見せ場が多い右翼の方がプラスにもなる。

チームはオープン戦8戦を戦い、打率2割8分5厘、12本塁打は12球団トップで、ソフトバンクと並んで首位を走る。今季も投手力が充実しているだけに、打線が活性化すれば05年以来、16年ぶりのリーグVも見えてくる。「右翼佐藤輝」の合格で、より破壊力満点の打線が完成した。

阪神は16日、開幕戦と同じ相手、同じ舞台の神宮でヤクルトと戦う。佐藤輝は球場の印象を聞かれ「打者目線から言ったら、本塁打は出やすいかなとは思いますね」とハッキリ答えた。両翼97・5メートル、中堅120メートル、フェンスも約3メートルと低く、本塁から外野へ向かってなだらかな傾斜がある打ち下ろし式になっている。

神宮は思い出深い球場でもある。近大2年秋の18年11月、明治神宮大会1回戦筑波大戦で4回に左翼へソロ。得意とする逆方向への大アーチで、初めて全国に佐藤輝明の名を知らしめた。その3カ月前、18年8月には大学日本代表として高校日本代表と対戦。5番DHで出場も先発の明徳義塾・市川悠太(現ヤクルト)に2三振し、代打を送られた悔しさも味わっている。

ヤクルトの先発は剛腕スアレスだ。佐藤輝は「今まで通り。しっかり初めて対戦する相手もいると思うので、集中して1打席1打席やっていきたい」とマイペースで打席に立つ。オープン戦の新人5号が出れば1972年(昭47)の近鉄佐々木恭介以来、49年ぶり。会心の1発で開幕ツバメ倒予行を狙う。【石橋隆雄】

◆佐藤輝の神宮での本塁打 近大2年の18年秋、明治神宮野球大会大学の部に出場。11月10日の1回戦で筑波大と対戦した。0-0の4回先頭でカウント1-2。村木文哉投手(現ヤマハ)から左翼へ先制アーチをかけた。「しっかり回転がかかったので、入るかなと思いました」としてやったり。右腕の外角真っすぐを捉えたこの1発が決勝弾となり、近大が2-1で競り勝った。

◆佐藤輝の4本塁打 オープン戦初戦の5日ソフトバンク戦(ペイペイドーム)で1回の第1打席、開幕投手石川からいきなり先制弾。新人の初打席本塁打は球団34年ぶりだった。10日広島戦(甲子園)で5回の第3打席にスコットから2ランを打つと、12日西武戦(甲子園)では2回の第1打席、高橋の初球をとらえて2試合連続弾。14日巨人戦(甲子園)では4回の第2打席に左腕の高橋から左翼ポール際に決勝アーチ。ここまでの4本すべて左方向への1発で、オープン戦本塁打王の単独トップを走っている。

◆阪神開幕予想オーダー

<1>中 近本

<2>二 糸原

<3>一 マルテ

<4>三 大山

<5>左 サンズ

<6>右 佐藤輝

<7>捕 梅野

<8>遊 木浪

<9>投 藤浪