広島森下暢仁投手(23)が30日、6回1安打無失点の圧巻の内容で今季1勝目を挙げた。阪神戦で今季初先発。最速152キロの直球を軸にした投球で、開幕3連勝中と波に乗る猛虎打線を沈黙させた。大学日本代表でチームメートだった阪神ドラフト1位の佐藤輝明内野手(22)には2打席連続三振と完勝し、昨季新人王の貫禄を示した。

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森下が、1枚も2枚も上手だった。両軍無得点の4回、1死満塁のピンチで打席に佐藤輝を迎えた。カウント1-2からの4球目、「打たれるわけにはいかない。何が何でもという気持ちでした」と内角高めに152キロ直球を投じ、空振り三振。2月の練習試合で右中間二塁打を浴びたスーパールーキーを、2打席連続空振り三振と圧倒。本番でリベンジを果たした。

磨きがかかった直球が、さえ渡った。2月のキャンプ中のキャッチボールで徹底して低い軌道で投げ込み、キレを増した直球にカットボール、カーブなどを要所に決め、猛虎打線を打ち砕いた。6回1安打無失点の快投で、相手の開幕3連勝の勢いを止めてみせた。

背番号18の大先輩との出会いが大きかった。中田の紹介でツインズの前田健太と昨年末に初めて対面し、1月は沖縄で一緒に練習する機会にも恵まれた。スライダー、ツーシームを伝授されたが、特に前田の体のメンテナンスへのこだわりに感銘を受けた。「ケガをしないための取り組みが大事だと思った。しっかりやるようになりました」。チューブを使って肩のインナーを鍛えたり、ケアなどにこれまで以上に時間を割くようになったという。

対打者のデータの重要性についても学んだ。「相手の苦手なところを頭に入れておけば、楽な場面は絶対ある」。ピンチの場面を迎えても、冷静な判断で相手の弱点に投げ込めることが2年目の進化につながっている。「火曜日の男」として6連戦の初戦でチームに勝利をもたらした。「いいスタートを切れた。勝つことで優勝に近づくと思う。これからもしっかりと自分の役割を果たしていきたい」と次戦を見据える。

お立ち台で、似てると言われるお笑いコンビ「ぺこぱ」のシュウペイの、人さし指をほおの横でクロスさせるポーズを決め「モリペイでーす」とおどけ、場内の爆笑をさらった。この男に、2年目のジンクスは存在しない。【古財稜明】

▽広島佐々岡監督 「攻めた中で3ボール2ストライクという投球が多くて球数が多くなったが、それでも粘り強くというのはさすがです。あそこの(4回1死)満塁でしっかりと抑えたというのも大きい。攻めた結果だと思う」

▽広島横山投手コーチ 「彼のいいときを知っているだけに、今日はもう1つかなという内容でした。それでも要所要所を抑えられるんだから、たいしたもの。レベルの高い投手」

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