ソフトバンク中村晃外野手(31)の一振りが、チームを救った。2点を追う9回無死一塁で、西武増田の初球スライダーを右翼席へ。「なんとか追いつけるようにつないでいこうという気持ちでした」。今季1号は、最終回で同点に追いつく値千金弾。負けていれば3位転落の危機だったが、首位タイをキープした。

14年に176安打で最多安打のタイトルを獲得した男が、今季は開幕から12打席連続無安打。打率も1割台と2割台をさまよった。復調のきっかけをつかむために“相棒”を変えた。6日の日本ハム戦(札幌ドーム)から、チームトップの16打点をたたき出している栗原にバットをもらった。「モデルは柳田さん。ちょっと軽いんですけど、今の自分にはそういうバットの方がいいのかなと」と狙いを明かす。

これまで使っていた物より、20グラム軽量に。17日に折ってしまったが、この日もう1本、栗原にもらった。「まだ良くなりましたとははっきりは言えないですね。良かったり悪かったりするので」。本人は苦笑いだが、バットを替える前は1割4分7厘で、替えた後は2割6分1厘。安打製造機に復調気配が漂ってきた。

ダイヤモンドを回ってベンチへ帰ると、7回に西武に勝ち越しを許した津森の右肩をポンとたたいた。今季10試合目で初失点した23歳のショックを、すべて帳消しにした。工藤監督も「津森君もチームも、あの1発で救ってくれた」と最敬礼。選手会長の放物線で、チームが笑顔を取り戻した。【只松憲】

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