今季初の“黄金リレー”だ。楽天ドラフト1位の早川隆久投手(22)が自身最長の8回6安打無四死球1失点で2勝目を挙げ、チームを3カードぶりの勝ち越しに導いた。

前日に田中将の8年ぶりの国内公式戦登板をテレビ観戦。ゲームメーク力を参考に、プロ初勝利をマークした日本ハムを再び封じた。

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“マー君フィーバー”から一夜。無表情の裏でハートを熱くたぎらす早川が、目いっぱい左腕を振った。8回2死一塁。日本ハム高浜を外角への伸びのある直球で空振り三振に仕留め、クリムゾンレッドの帽子を吹き飛ばした。「前半は力みをなくすために抑えていた。後半はしっかりと腕を振って、より強いボールを投げられました」。107球の熱投。味方の祝福にさわやかな笑顔で応えた。

“伝説”を残した右腕を目指すべき存在と置く。13年。24連勝で日本一へ導いたテレビ越しの田中将に夢を見た。同じユニホームに袖を通し、寮では田中将も愛用する東京西川のマットレスを使用する。春季キャンプ中にはカットボールの握り、投げ方も直接聞いた。前日は田中将の今季初登板をテレビ観戦。「実戦を1カ月離れた中でしっかり試合をまとめられるところはキャリア、経験の違いもそうですし、すごいなと思いました」。

目で学んだゲームメーク術をかみ砕き、マウンドで表現した。初回に近藤のソロで先制を許したが「より腕を振って、真っすぐにより近いボール」を意識。29打者中初球ストライクは19。「先頭打者を集中して抑えたことが勝ちに結びついた」と、7イニングで先頭を断ち切った。セオリーを忠実に守り、持ち前のテンポのよさで攻撃へリズムをもたらした。

08年、9歳の時。初めて球場観戦したのが東京ドームの右翼席。巨人対アスレチックスで高卒2年目の坂本が3安打の活躍を見せた記憶が鮮明に残る。「これからもまだまだ厳しい戦いが続いてくると思うので、ファンの応援を力に変えて勝っていきたいと思います」。近未来のエースを担う背番号21が、“伝説”への足跡を一歩ずつ残していく。【桑原幹久】

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