日本ハム加藤貴之投手(28)がオリックス打線を完璧に封じ、チームトップタイの3勝目を挙げた。抜群の制球力でストライク先行の勝負を仕掛け、リーグトップのチーム本塁打数を誇る重量打線を7回4安打無失点、わずか85球で凡打の山を築いた。愛称「カトちゃん」の痛快な好投で、チームは連敗を2で止めた。

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ひょうひょうとストライクを奪い、面白いようにアウトを重ねた。約2週間ぶりのマウンドでも、今季好調な加藤の姿は変わらなかった。「あまり深いことを考えずに初回から全力で投げました」。ゆったりとした2段モーションから、リリースの瞬間だけ力を入れ、ほぼ同じ腕の振りで直球と変化球を投げ分ける。「四球なく、テンポよく打ち取れて良かった」と最後まで翻弄(ほんろう)した。

最速157キロを計測したオリックス山本に対して、加藤は最速141キロながら投げ勝った。「球が速いですし、いいなぁと思って横から見てました」と振り返ったが、自らのスタイルは崩れなかった。力みすぎず、思い切って内角も突く。唯一のピンチだった7回1死一、二塁でも伏見には内角を突いて左飛、紅林は低めに制球したフォークで三ゴロ。7回を投げ切って85球。余力は「ありません」と、出し切った。

チームがコロナ禍に襲われても、自分のやるべきことに集中してきた。活動停止中は「ネットスローだけ。肩に刺激を入れる程度」と、できることを黙々と取り組んだという。一方で、自宅で過ごした時間は「ボーッとしていました」。普段から、いい意味で力が抜けている左腕だからこそ、マウンドに上がっても変わらず、つかみどころのない投球が展開できる。

チームの連敗を2で止める快投に栗山監督も「加藤サマサマです」とべた褒め。7回で全力を出し切ったという加藤について「球数じゃないんだよ、カトちゃんの場合は。状態を、とにかく見ていってあげる」と、スパッと継投に入って加藤の白星を守った。

これで上沢に並んでチームトップタイの3勝目となった。開幕から好調を維持し、チームを支え続けている。貢献度の高さは周囲も認めているが、加藤自身は「それは上沢と伊藤がやってくれるので、僕はのんびりやります」。いつだって期待を裏切らないのが、カトちゃん。次も、ひょうひょうと白星をつかみ取る。【木下大輔】