首位阪神が「勝利の方程式」で2位巨人を1点差で振り切った。終盤3イニングを岩貞祐太投手(29)、岩崎優投手(29)、そして守護神ロベルト・スアレス投手(30)が球団最速タイ162キロをマークして無失点で締めた。岩崎の15ホールド、スアレスの12セーブはともにリーグ最多。かつての「JFK」をほうふつとさせる勝ちパターンを確立し、5カード連続で勝ち越した。デーゲーム15連勝、日曜8連勝で、再び巨人を4・5差と突き放した。

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162キロで締めた。9回2死、阪神の守護神スアレスは代打亀井の外角へ自己最速、昨年の藤浪に並ぶ球団最速の直球を投げ込み空振り三振。球場ビジョンに「162キロ」と表示される中、右手でグッとガッツポーズをつくった。「とにかく何よりもチームが勝った。(3連戦を)勝ち越せたっていうのが大きいですし、うれしいです」。シャイな男は笑みを浮かべ、来日初勝利のアルカンタラにウイニングボールを手渡した。

矢野監督も「スアちゃん、今日はいつもよりもさらに球が速い感じにも見えた」と驚くほど気持ちが入っていた。直球が160キロ台で動き、チェンジアップが140キロ台と異次元の投球。15日に逆転3ランのスモークからは低め160キロで見逃し三振を奪った。20試合でリーグ最多の12セーブを挙げ、18試合連続無失点で防御率は0・45。ソフトバンクを戦力外となって加入した昨季は外国人枠を争う1人で、途中から抑えに転向してセーブ王に。今季は「セーブがつく場面ということが自分の仕事」と立場にこだわっている。

8回の岩崎は2死から岡本和に打たれたが、一塁走者の代走増田大をけん制で飛び出させアウトに。矢野監督は「スグル(岩崎)もいろんな引き出しを出しながら、しっかりゼロで帰ってきてくれる」とほめた。15ホールドはリーグ最多。岩崎が抑えるたびに出す「0点で抑えることができてよかったです」というお決まりのコメントは、虎党の中でも話題となっている。

7回の岩貞も「気持ちで抑えた」と3人で片付けて11ホールド目をマークと、勝ちパターンの継投はライバル球団の脅威になっている。優勝するためには05年のウィリアムス-藤川-久保田の「JFK」のように強固な勝利の方程式が必要。それに似通う3人の奮投を指揮官は「いやあ、ホントね、頭が下がるというか、だいぶ登板数も多くなっているから」とたたえた。

2リーグ制後、40試合時点での勝率7割1分1厘は球団最高で、27勝も08年と並んで最多。今季デーゲームは1分けを挟んで15連勝で、日曜日は8連勝と景気いい数字が並ぶ。阪神が、21年自慢の方程式で首位を走り続ける。【石橋隆雄】

◆阪神過去のV年の主な必勝リレー 投手分業が定着して以降、阪神の優勝年でも勝ちパターンが確立されていた。日本一となった85年には、中西、山本和のダブルストッパー体制。福間や佐藤秀ら左腕も個性を発揮した。03年には中継ぎの安藤、吉野から抑えのウィリアムスへとつなぐ流れがあった。そして05年には、球史に残る名トリオ「JFK」がフル稼働。急成長した藤川、クローザーから転じたウィリアムスの中継ぎ陣、そして抑えの久保田と、盤石の救援陣を形成して混戦を勝ち抜いた。

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