ロッテ佐々木朗希投手(19)が16日、西武戦で1軍デビューを果たした。ZOZOマリンのフロア4(2階席)にある記者席から取材した。

日刊スポーツに割り振られた取材席は、マウンドと本塁を結ぶ直線の延長線上にある。グラウンドより約25メートル高い場所にあるため、投球がストライクかボールか、少なくとも左右での見極めはかなりしやすい。

佐々木朗が投げた107球のうち、強く印象に残る球が2球あった。初回、西武山川を空振りさせた3球目のスライダーと、4回に愛斗を空振りさせた初球のスライダーだ。

同じスライダーでも、後方25メートルの高さから見ると、違いは一目瞭然だった。山川へのスライダーは、リリースの直後は直球だと思った。本塁寸前で回転軸が急に90度変わるような、カットボールのごとき1球。球速は141キロだった。

一方、愛斗へのスライダーは135キロで大きく曲がり、空振りさせる意図を強く感じた。昨年11月8日、CS進出がかかる大一番の西武戦(ZOZOマリン)で、大きなスライダーが特徴的な東條大樹投手(29)が愛斗に対して3球連続スライダーを空振りさせた。バッテリーがそれを意識したかは未取材のため不明ながら、想起させるような攻めだった。

佐々木朗は高校3年時のベストピッチに作新学院(栃木)との練習試合を挙げ「思うようにボールを操れたので」と話している。その試合は、愛斗に投げたような130キロ中盤のスライダーで面白いようにストライクを取っていった。

肉体強化の成果か、現在はスライダーもフォークも最速で140キロ台中盤に迫っている。今後、この130キロ台の変化球をどう使っていくか注目したい。

もう1つ、高さ25メートルでの取材ならではの出来事があった。4回、スパンジェンバーグへの2-2からの5球目が、ネット裏へのファウルになった。記者席よりさらに上の天井にぶつかった。この記事に添えられた写真の左上に見える突端の上に当たった。

ロッテ担当記者になり、ZOZOマリンでの試合取材も100試合に迫る。ネット裏後方の2階席最上段の記者席まで届くファウルは、記憶の限り1球もなかった。佐々木朗の150キロとスパンジェンバーグの強振が生んだファウルは、記者席どころかさらに約5メートル高い場所までいった。快速球と強振の衝突で、いかに強いスピンがかかったかの証しともいえる。

ソフトバンク柳田にオリックス吉田正…今後パが誇る強打者たちと対決していく中で、どんな強烈なファウルが飛んでくるのだろう。警戒を強めたい。【金子真仁】