氷の世界で一冬を過ごす生粋のハンターが、首位のトラを射止める。

ヤクルトのサイスニード投手(28)が、今日18日の阪神戦(甲子園)で先発する。来日2度目の登板で、狙うは初勝利。6・5ゲーム差とこれ以上離されたくないが、「ケモノ退治」は大得意だ。

5年前から妻ハンナさんの地元である米アラスカ州に住む。趣味はハンティング。「ボウガンもやるし、散弾銃もあるし、アーチェリーもある」。父親がアーチェリーショップを経営していたことから、特技は弓の扱い。そんな武器を使って、鹿やクマなどを狩猟する。今までの最大記録は680キロのムース(ヘラジカ)だ。「基本的には全部食べる。1頭ムースをとると、家族1年分ぐらいの肉になる。ステーキにしたり、ジャーキー、ハンバーガーも。オイシイ」。オフには趣味と実益を兼ね、広大な白銀の世界を駆け回る。

特徴的なあごひげも、アラスカの生活で寒さをしのぐためだ。北極海に面し、冬場は氷点下26度にも達する極地。「生やしておくと暖かい。ヒゲをそるのはめんどくさいが、頭はそっている」と、ジョーク交じりに帽子を外した。

「夏に狩りでとっておけば、しっかりとしたご飯というか、一年中食べられる」。生きるために、野生動物を射止め、いただく。打者を打ち取り、1死、2死と積み重ねる、野球にも通じる信念だ。初夏に近づく甲子園で、初めての「虎狩り」。「イエス! ベリーグッド!」と大笑いした。武器の150キロ超え直球を投げ込み、自身とツバメのおなかを満たす。【湯本勝大】

◆サイスニード 1992年10月1日生まれ、米ネバダ州出身。11年ドラフト35巡目(全体1074位)でレンジャーズ指名も大学に進み、14年同3巡目(全体85位)でブルワーズ入団。19年にアストロズでメジャー初登板。メジャー通算26試合で0勝4敗、防御率5・59。登録名は「サイ・R・スニード」の本名をつなげたもの。193センチ、97キロ。右投げ右打ち。

◆アラスカ州出身のメジャー選手 データサイト「ベースボール・リファレンス」によると過去に12人。有名なのはレッドソックスなどで通算216勝を挙げた元投手のカート・シリングだが、かつてヤクルトの守護神を務めたトニー・バーネットはアラスカ州最大の都市アンカレジで生まれ、4歳時にワシントン州シアトル近郊のフェデラルウェーに移っている。

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