楽天則本昂大投手(30)がブレずに力を出し切った。「終わりを決めずに行けるところまで行こうというのは今年のテーマ。それができたかなと思う」と、振り返ったように初回から飛ばした。1回、先頭の西川への初球は150キロ直球。力強い軌道が外角低めに伸びた。「今日は真っすぐが良かった」と軸となるボールが決まり、追い込むとフォークで空振り三振。インパクトたっぷりのスタートは、その後の快投を予感させるのに十分だった。

5回まで無安打投球が続いた。大記録とともに、あと2つの三振を奪えば、歴代10位タイとなる通算40度目の2桁奪三振にも迫っていた。そんな注目が徐々に高まる中でも「とにかく1人ずつ、しっかりとアウトを取っていこうという意識しかなかった」。目の前の打者との勝負に集中し続ける中で6回には初安打を浴び、味方の失策も絡んで2失点。結局、6回2安打2失点(自責0)、9奪三振で降板も「追いつかれずに終われたので最低限」と、役目を果たして4勝目だ。

試合後は同学年の主砲、浅村と初めて一緒にヒーローインタビューを受けた。「アサ(浅村)が(19年から)ウチに来てくれて、その年から(一緒にお立ち台に)上がる上がると言って、3年目でできたのでうれしいです」と、心地よい疲労を感じながら笑顔だ。これでチームは3連勝で首位をがっちりキープした。次回は敵地での交流戦巨人戦での先発が濃厚。「初ヒットを打てるように頑張ります」と、打席でも全力を尽くす右腕なら、白星とともにいろいろな記録もすぐに付いてくるはずだ。【木下大輔】

▽楽天石井GM兼監督(3試合連続で1点差勝利に)「緊張感の中で勝っていくのは大事。勝ちっぷりも負けっぷりもチームの成長にはすごく大事だと思う。成長しながら、しっかりとシーズンを戦うチーム。みんなしっかりと成長してくれていると思う」