西武がコロナ禍での戦いを強いられ、野手10人で引き分けに持ち込んだ。主将の源田が発熱を訴えて端を発した緊急事態。マスク姿が並ぶ三塁側ベンチには、控え野手がわずか2人しかいなかった。序盤の4得点で始まったゲーム。7回に同点に追いつかれ、9回引き分けとなった。辻監督は「どうにか逃げ切ったというとこかね」と心情を吐露。勝てなかった。けど、負けなかった。

いるはずの顔ぶれが、いなかった。この日の午前中、源田が37・5度の発熱。PCR検査を受け、チームで初めて陽性者が出た。広島入りした24日以降、2試合中止の間、源田と接触したとされる投手2人、野手5人がベンチから外れた。4日ぶりのゲームは、DH制のないセ・リーグ本拠地試合。ただでさえ、代打の切り札が勝敗を左右しかねない交流戦初戦で、控え野手は外野手の鈴木と捕手の岡田だけ。捕手のけがを想定すると、代えられるのは実質、鈴木だけだった。

事実上、最初で最後の野手の交代カードは、8回先頭の打席で代打鈴木。一ゴロに打ち取られ、投手と交代した。1番から8番の顔ぶれは終始同じ。7番スパンジェンバーグは今季初の右翼、8番山田も今季2度目の遊撃での先発だった。辻監督は「代打は最後の最後しか送れないなというところで、今日はちょっと苦しかったですね」というのは、本音だった。

28日の本拠地での阪神戦以降は不透明な状況が予想される。指揮官は「いるもんで1試合1試合、必死で戦っていきます。それしかないです」と、割り切って波乱の交流戦に立ち向かっていく。【栗田成芳】