阪神ドラフト1位佐藤輝明内野手(22)が、ファンの熱狂的な支持にマルチ安打で応えた。

6回に「ピッチャー能見」とコールされるとスタンドからはメガホンでこの試合一番の拍手が巻き起こった。ネクストバッターズサークルで見た光景に「いつか自分もそうやって拍手が起こるような選手になりたいですね」と、改めて自分もこれから長く虎を支える思いを強くした。

小さいころに甲子園に観戦に来ていたころからスターだった。能見に追い込まれフォークを3球続けられたが、高めに浮いた球を逃さず右前へ運んだ。「何とか粘って、前に飛ばそうと思っていった結果がよかった」。8打席ぶりの安打となり、続く8回の打席でもK-鈴木の内角カットボールを右前へ。今季15度目のマルチ安打をマークした。オリックス戦はオープン戦から安打が出ていなかったが、3日の3回戦に向け勢いもついた。

この日もスタンドのファンが掲げるタオルの数は一番多かったが、球宴のファン投票でも規格外の集票力を見せた。「マイナビオールスターゲーム2021」の第1回ファン投票の中間発表が行われ、佐藤輝はセ外野手部門で両リーグ最多の4万7769票を獲得した。試合前練習後に知った佐藤輝は「すごく驚きましたけど、素直にうれしい」と喜んだ。4万票を超えているのはパ外野手1位ソフトバンク柳田悠岐外野手の4万3495票だけ。パワフルな打撃だけでなく、人気でも全国区であることを証明した。

ファン投票は20日まで行われるが、最終結果で、新人がファン投票の最多得票となったことはまだない。「もちろん選ばれたいですし、そのために頑張るわけではないですが、選んでもらえるような活躍をしたい」。虎の怪物ルーキーが史上初の新人両リーグ最多得票の看板をひっさげ、球宴でも大暴れするのか。楽しみは尽きない。【石橋隆雄】