びしょびしょにぬれた。オリックスT-岡田外野手(33)がサヨナラ打を放ち、3時間39分の激闘に終止符を打った。同点に追いつかれた直後の9回2死満塁。広島の守護神栗林の150キロ直球を完璧に捉えて右翼へ運んだ。

「最高です! 打った瞬間に抜けたと。ライトゴロにならないように頑張って走った」

9-8。交流戦王者が最終戦を劇的に飾ったX勝ちゲーム。主役は一塁を駆け抜けると両手を突き上げて両足を開き、からだ全体で「X」の字を作った。ベンチからはラオウこと杉本や若月らがペットボトルを持って追いかけ、歓喜のウオーターシャワーに包まれた。サヨナラ打は、前回優勝した交流戦でMVPに輝いた10年以来11年ぶり3度目。「監督がずっと言っている『最後まで諦めない野球』を合言葉に。みんなの気持ちが打たせてくれた1本」と胸を張った。

コイの怪物新人クローザーに先輩プロの意地を見せた。栗林はこれが登板23試合目の初失点で初黒星。「映像を見た。真っすぐが一番良い投手。フォークとかカットとか…。空振りは仕方ないと思った」。腹をくくった打席だった。

今季16年目で、球団在籍期間は現役最長。苦難も、喜びも知っている。好機で倒れるたびに、空を見上げた。だが努力は裏切らなかった。実は“朝活”の鬼。遠征先から帰阪する際の新幹線は、必ず始発に乗る。早朝に移動し、若手よりも早くバットを振ってきた。

最高の答えで4年ぶりの6連勝を導いた。3位ながら首位楽天と2ゲーム差に迫った。「(順位を)見る必要はない。ヘトヘトになるまで戦っていきたい」。悔し涙が実を結んだ33歳。水もしたたる、いい男になった。【真柴健】

▽オリックス中嶋監督(サヨナラ勝利に)「全員で勝ちにいっている証拠。打者陣に感謝です」

▽オリックス杉本 (初回にチームトップの13号2ラン)「試合前、山岡(選手)にバッティングを教えてもらったら打てました!(笑い)」

▽オリックス増井(先発で6回4失点)「ビハインドの展開にしてしまいましたが、野手陣が逆転してくれ、後半は力が抜けていいピッチングができました。本当に野手陣のおかげ。感謝しかないです」

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