雨ニモマケズ、自身5連勝だ! 日本ハム伊藤大海投手(23)が楽天15回戦(楽天生命パーク)で7回1失点の好投で6勝目を挙げた。断続的に雨が降るコンディションにも柔軟に対応し、楽天岸に投げ勝った。球団の新人投手で5試合連続勝利を挙げたのは06年新人王の八木以来。15年ぶりの快記録でチームを3カードぶりの勝ち越しに導いた。

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ヒーローインタビューを終えた伊藤は、心地よい疲労感を感じながら言った。「疲れました」。雨が断続的に降る中、1球ごとにマウンド上のロジンバッグに手を伸ばしながら7回4安打1失点と好投。「試合前も(石川)亮さんに、投げ終わって『今日、雨降ってましたっけ?』って言えるくらい頑張りますって言ってたので、なんとか頑張りました」と、試合後は雨が上がった杜(もり)の都で笑った。

エース上沢に並ぶ6勝目で、規定投球回にも達して防御率2・65はリーグ4位。エース級の数字が並ぶ理由の1つは、常に工夫を凝らしながらベストを尽くせるからだ。

立ち上がり。直球は走っていたが、上ずっていた。2回までに各打者が直球に反応している様子も分かっていたため、組み立ての軸として置き換えたのはスライダー。「厳密に言ったら6種類くらい投げました」と速度、曲がり幅に加えて「腕を下げたり」と器用に投げ分けて楽天打線を翻弄(ほんろう)。4回から7回まで無安打に封じた好投の裏には、こんな高い対応力があった。

今後のさらなる成長を予感させる、大きな意味を持ちそうな1球も投げた。4回にカスティーヨから見逃し三振を奪った96キロの超スローカーブだ。

伊藤 あの時に気付いた。かちかちになりすぎていたというか、真面目に投球しすぎていた、と。ピッチャーが投げてからプレーが始まるので、自分でもっと余裕を持って投球する意味でも、ああいうのもアリかなと思いました。

虚をつかれた相手助っ人が、ど真ん中でも反応できなかったプロ入り後の最遅ボール。手先の器用さがあってこそだが、試合中に精神的な成長もできてしまうのが、規格外のルーキー右腕の魅力。随所に工夫を凝らしながら、「カロリーが高い投球というか…」と疲れの要因に苦笑いも、頼もしさは一段と増してきた。

球団の新人投手で5試合連続勝利を挙げたのは、06年の新人王・八木以来だ。15年ぶりの快挙にも「勝ちパターン(の救援陣)が3連投になるのも分かっていた中で7回までしか投げられなかったのは1つ反省点。もっともっとイニングを伸ばせるように努力していきたい」。満足せず、次の登板へ向かう。【木下大輔】