「もう1回、質問を練り直してくるんだな」。担当記者の中で”怒られ第1号”となった。日本ハムの新監督として、大島康徳さんが初めて記者会見した時だった。当時、日本ハムを担当していた私は幹事社を務めていた。「監督に就任して率直な気持ちはどうですか」とまずは無難な質問をした。大島さんは全員の前で、「そういう質問はつまらないな。もっとぶつかってきてほしい」と記者会見の場で私の顔を見つめて答えた。いきなり面食らった。

変な段取りが嫌い。いつも直球勝負の人だった。後日、2人きりで車に乗り合わせた時「あの時は悪かったな。悪気はないんだよ。でも、とにかく今までの普通が好きじゃない。本音で記者ともやりたいんだよ」と明かしてくれた。

その通り、体を張った指揮官だった。東京ドームの試合で倒れ、救急車で運ばれた時があった。その時も「大したことはない。頭に血がのぼっただけだ」とあくまで気丈を貫いた。現役時代の打者としての数字は、どこからどう見ても超一流のもの。監督を退いてからも、記者の元に子どもたちと写った年賀状を送り続けてきてくれた。文字通り、熱い野球人だった。【2000年日本ハム担当・栗原弘明】