中日福留孝介外野手(44)が古巣復帰後、初アーチを放った。2回1死走者なしで巨人先発山口にカウント0ボール2ストライクと追い込まれたが、3球目148キロ直球を右中間スタンドへ先制ソロをたたきこんだ。

「しっかりとバットにはつかまったが、高く上がったので、あんなに飛ぶと思わなかった」。44歳以上での本塁打は中日では谷繁以来2人目。敗戦の中で球界現役最年長がパワー健在を見せつけた。

阪神時代の昨年7月16日ヤクルト戦(甲子園)以来。中日では07年7月3日広島戦(福井)以来、14年ぶり、5118日ぶりの1発は、同期への惜別弾にもなった。この日、98年のドラフト同期の西武松坂大輔投手(40)が今季限りでの現役引退を発表した。「(引退を)自分で選べる数少ない選手ですし、彼の決断ですけどさびしいです」と福留。

松坂に1年遅れて08年に海を渡った。「マイナーで(僕は)けがの中、向こうは調整登板で(対戦した)。日本でやっている時もずばぬけた投手だった。アメリカで対戦できたことは僕の1つの財産」。異国の地で対戦した3つ年下の大投手をリスペクトした。

04年アテネ五輪、06年、09年WBCではチームメートとして日の丸を背負った。「勝ちにこだわる野球小僧、野球が大好きな投手というのは後ろで守っていても伝わってきた。違うチームなのに後ろを守れたのも思い出」。五輪イヤーに現役に別れを告げた後輩との記憶を振り返った。

98年ドラフトでプロ入りしたのは、中日岩瀬、巨人上原、阪神藤川ら70数人いたが、松坂の引退表明で現役は福留が最後の1人になる。「(松坂の存在は)もちろん励みになった。僕が1人になったが、逆にいえば今度は(同期の)代表として少しでもやれるように頑張っていきたい」。松坂らの思いをくんで、球界現役最年長の44歳が竜打線にカツを入れる。