全セ・阪神近本光司外野手(26)が20年ぶりの新記録で球宴史にまた名前を刻んだ。第1、第2打席で安打を放ち、前回サイクル安打を記録した19年の第2戦5打数5安打から続く7打席連続安打で、01年にペタジーニ(ヤクルト)が記録した6打数連続安打(途中1四球含む)を超えた。「記録というのは、全然知らなかったです」と喜んだ。

3回1死一塁では西武今井の初球、150キロ直球を右前へ鮮やかに運んだ。5回無死三塁では、日本ハム上沢の外角チェンジアップを逆らわず左前適時打。「自分自身すごく楽しめているから、いい結果が出ているのかもしれないですね」。お祭り舞台で純粋にプレーを楽しむ姿勢が、安打量産につながった。

7回の第3打席もロッテ佐々木千の初球を打ちにいったが一ゴロで記録はストップ。だが、その打撃力を恐れたパ・リーグが同点の9回1死二、三塁の場面で申告敬遠。「(捕手の)甲斐さんに『緊張しますね』という話をしたんですけど、それが申告敬遠になって恥ずかしい気持ちになりました」と照れ笑いしながら一塁へ向かった。敬遠は23年ぶり8度目、申告敬遠は球宴初の珍事と、ここでも「近本」の名前を刻んだ。

ルーキーだった19年の球宴は満員の東京ドームと甲子園。「満員の中でやれていたことが当たり前じゃなかったんだというのはすごく感じます」と、コロナ禍の中でも応援してくれるファンにプレーで元気づける。「チャンスがあれば走っていきたい」。第2戦はリーグトップタイ17盗塁の足も見せる。【石橋隆雄】