元DeNA投手の寺田光輝氏(29)が17日、東海大医学部医学科の編入試験に合格した。10月から5年半の課程を修了し、国家試験に合格すると医師になれる。「スポーツ整形外科、内科に興味がある。本当に僕1人では無理だった。いろいろな人に助けてもらったおかげ。塾の社長や生徒、国吉、進藤、梶谷さん、藤岡さんら元チームメートからも背中を押してもらった。頑張ればできるとか言うためじゃない。(引退後に)そういう道もあると示したかった」と喜んだ。

元広島のゲイル・ホプキンス内野手(78)が引退後に米国で整形外科医になった例はあるが、日本人の元プロ野球選手が医師になれば初とみられる。

1次試験の科目は生物など理科系の科目が融合した「英語」と、数学的な思考能力が試される「適性試験」、書類選考で。2次試験は面接だった。寺田氏は偏差値について「63ぐらいだと思う」と話したが、難関試験を突破した。1日最低5時間の勉強に加え、アルバイトで塾のアシスタントアドバイザーを務めており、人に教えることで英語と生物、数学の知識を増やしていた。

伊勢高校(三重)から国立の三重大学教育学部に進んだ。当初はプロ野球選手を目指すつもりだったが、同大野球部で「いい投手が2人いて、レベルの高さに圧倒された。プロは無理かもしれない」と迷いが生じた。医師の家系であり、医学部に転部しようとするも失敗。休学してフリーターをしていたが、野球の熱が再燃し、筑波大の体育学群を一般受験し合格した。筑波大では芽が出ず、BCリーグの石川に入団。17年ドラフト6位でDeNAに入団していた。プロで1軍登板はなかったが、プロ野球選手のセカンドキャリアにおいて、新たな道を切り開く。【斎藤直樹】