昨年4月に右肘のトミージョン手術を受けてリハビリを続けてきた19年ドラフト1位の巨人堀田賢慎投手(20)が、入団2年目で実戦初登板を果たした。2-1の5回に3番手で登板し、1回1安打無失点。151キロの自己最速を更新する152キロをマークした。将来性十分の金の卵が、堂々とした“デビュー”を飾った。

目標の舞台に、ようやくたどり着いた。高校時代以来約2年1カ月ぶりで、プロでは初の実戦マウンド。思い焦がれてきた場所に立つと、リハビリを支えてくれたトレーナー、仲間、家族の顔が浮かんだ。両親からは登板当日の朝に「頑張れ」とLINEを送られていた。ブルペンで感じていた緊張感は、いつの間にか消えていた。「1球目は真っすぐって、ずっと決めていた。感謝の気持ちを込めていきました」。万感の思いを込めた右腕から投げ込まれた初球のストレートで、相手のバットをへし折って遊ゴロに仕留めた。

目指していた数値は、一気に超えた。2番古川への1ストライクからの2球目。ボールになったが、球速は自己最速を上回る「152キロ」を計測した。「(自己最速が)出なくても、まず投げられる姿を見せられればいいなと思っていたので、そこにはこだわらずに、投げている姿をって思ってマウンドに上がりました」。カウント2-1から左中間に二塁打を浴びたが、後続を抑えて1回1安打無失点。「すごい楽しいなと感じながら投げることができました」と、ほっとした表情で振り返った。

つらい日々は、焦らず乗り越えた。青森山田から入団した直後の昨年1月、新人合同自主トレで右肘の痛みを訴え、その後手術。約半年、投げられない日々が続いた。「ほとんど下半身強化に努めてやったんですけど、そのときが一番きつかったかなと思います」。

でも、諦めなかった。諦めきれなかった。オフに育成選手として再契約。ロッテ佐々木朗やヤクルト奥川ら同世代のドラフト1位が投げる姿に焦る気持ちも芽生えつつ「自分も早く1軍で投げたいなと思いながら、リハビリを頑張ってました」と刺激として受け止め、プロのマウンドに立つための原動力に変えた。1年4カ月のリハビリ期間を乗り越え、迎えた初登板。「投げていてムラがないというか、コントロールだったり球威も大きく変化することもなく、その部分ではしっかり鍛えられたかなと思っています」。苦しみぬいた日々が、制球力の安定と自己最速の更新へとつながった。

目指す場所は、もっと先にある。巨人の支配下登録枠は、今年は上限の70人が埋まった。来年の支配下復帰を目指し、まずは投球回数を増やしていく。「来年いいスタートを切れるようにと思っているので、そこに向けて次は調整していきたいなと思います」。まだ20歳。本当の勝負は、ここからだ。