阪神中野拓夢内野手の決勝三塁打は高めのボール球だった。東北福祉大時代の恩師で元西武外野手の大塚光二監督(54)は「ああいうタイプって『ボール球を振るな』って言ったらバットが出てこなくなる。三振してもいいから初球からどんどんいきなさい」と積極的にバットを出すことを優先させていた。それが、この日の痛快な悪球打ちにもつながる。

変則左腕大江からのV打。だが、大学時代は左腕に弱く両打ちにも挑戦した。人の何倍も両方でスイングしたことで、左打席も磨きがかかった。プロでは左腕に強く、対右は打率2割6分4厘だが、対左は2割8分1厘と得意とする。大塚監督は「今もたまに雑な三振やなと思う打席を見ますね」。強引に打ちにいって三振する姿に、大学時代の中野の姿が重なるとうれしそうに笑った。【石橋隆雄】