ソフトバンクの自力Vが消滅した。2点リードの8回に逆転され、西武に敗戦。サヨナラ勝ちで首位に再浮上したオリックスに、5ゲーム差を付けられた。工藤監督は「負けたことは取り戻せないので。勝つ以外では取り戻せないので、勝っていってしっかり取り戻す。そういう気持ちで明日からやっていきます」と、気持ちを切り替えた。

帰ってきた守護神に、つなげなかった。左肘関節化膿(かのう)性滑液包炎から4カ月ぶりに復帰した森が、9回に向けてブルペンで準備をしていた。だが、出番は回ってこなかった。

理想的な展開だった。苦手にしていた西武高橋から6回に甲斐の逆転3ランで2点のリードを奪い、その裏を田中が3人で抑えてプロ初ホールド。7回は代役抑えも務めた板東が完璧に抑え、勝利につないだ。

8回は甲斐野が登板。スイスイと2死を取ったあとに、落とし穴があった。7番山川からの4連続長短打でまさかの3失点。「反省をして、次の登板に生かさないといけないと思う。申し訳ないです」と、自主トレでも師事する師匠の森にバトンを渡せず、悔しがった。

長く実戦を離れていた森には、まずは楽なポジションから、という構想もあったが、工藤監督は「彼の気持ち的にも、ゲームに入っていく感覚が違うと思う。彼に託したい」と、いきなり抑えでの起用を決断。この日が華々しい復帰戦になるはずだったが、思い通りにはいかなかった。

工藤監督は常に「自力Vは復活するもの。数字は数字ですけど、一喜一憂していては大変なので」と数字より、目の前の試合に集中する姿勢を崩さない。まだまだ、逆転Vはあきらめない。【山本大地】

▽ソフトバンク田中(2点リードの6回に登板し3人で締め)「甲斐さんのサインを信じて、ミットを目がけて全力で投げた。いい投球ができたと思う。投球を覚えていないくらいの興奮と緊張でしたが、今日のような投球を続けてもっともっとチームに貢献したい」