9回2死、登場コールに球場がどよめく中、田中健がマウンドに上がった。18年9月16日阪神戦以来、1092日ぶりの登板。顔中に汗を浮かべながら、全力で左腕を振った。代打原口に四球を与えたが、146キロをマーク。続く小野寺をフォークで投ゴロに仕留め、試合を締めた。

「1軍の舞台に戻ってくることができホッとしています。周りの方々のサポートがなければ、今日を迎えることはできなかったと思うので本当に感謝したい」と万感の思いをこめた。

19年に左肘のトミー・ジョン手術を受け、育成契約になった。「手術してすぐ肘の可動域が全然ない時、本当に投げられるのかなと思いましたけど、それ以降は絶対無理だとは思わなかった」。懸命なリハビリ姿は今永、東らの手本となった。試合後「おかえり」と声をかけた三浦監督は「僕も興奮していた」。チーム全員が幸せな気分に包まれた。【斎藤直樹】