広島栗林良吏投手(25)が、球団新人最多タイ記録の25セーブ目を手にした。DeNA戦で3-2の9回にマウンドに登板し無失点で締めた。永川1軍投手コーチが03年にマークした記録に並び、チームの2連勝と7カードぶりの勝ち越しを導いた。連続試合セーブを8に伸ばし、15年のDeNA山崎が持つ連続試合セーブの新人記録にも王手をかけた。

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栗林が先駆者の目の前で、球団記録に肩を並べた。15日以来、中9日で1点リードの9回に登場。1死から四球、単打で一、二塁のピンチを招いたが、柴田をワンバウンドするフォークで空振り三振。代打関根を遊飛に退けた。マウンド上では女房役の会沢と右手でガッチリ握手を交わした。東京五輪で胴上げ投手になって以来の横浜で、球団新人最多タイの25セーブ目をもぎ取った。

「やっぱりうれしいです。(永川コーチに)並べたのはすごくよかった。1つの目標を達成できた」

「フォークを見てください!」。春季キャンプでは「永川塾」の門をたたいた。通算165セーブで同じ背番号20を付けた先人。フォーク談議を重ね、「真ん中でもいいから、強い角度で落ちていく球を投げられたらベスト」と狙いどころを伝授された。「その発想はなかった」と常に心に置き、凡打、三振の山を築いてきた。また「押し出すのではなく、鉄棒をつかむ感じで」と独特の表現でリリースの感覚も教わった。

その「永川フォーク」について、投げる感覚は「似ている」ものの「自分のフォークが通用するまでは、自分の投げ方でやって、そこから永川さんのフォークを試していきたい」と言い切る。座右の銘に「謙虚」を掲げ、同時に「自分」という強い意志を持ち合わせるのも栗林の魅力の1つだ。

失敗を経験してパワーアップにつなげた。デビューから22試合連続で無失点と圧倒的な投球を続け、迎えた6月13日のオリックス戦。終盤で打線が4点差を追いつき、8-8の9回に急きょ登板が回ってきた。2死満塁からT-岡田にサヨナラ打を浴び、プロ初失点、初黒星を喫した。準備不足だった。試合後「どんな状況でも、負けてる展開でも回ってくると思って、準備することが大事」と永川コーチから心構えを教わった。敗戦をバネに準備に集中し、現在は15試合連続無失点と再び無双状態を続けている。防御率は0・44とさらに良化した。

栗林はこの日で8試合連続セーブにもなり、DeNA山崎が15年にマークした新人最多記録に王手をかけた。球団史にとどまらず、球史にもその名を刻んでいく。【古財稜明】

▼ルーキー栗林が25セーブ目。新人の最多セーブは15年山崎康(DeNA)の37セーブで、25セーブ以上は栗林で5人目。広島では03年永川の25セーブに並ぶ新人最多タイ。