希代のバットマンが球団史上最年長満塁弾で、球団史上初となる13試合連続負けなしに導いた。ヤクルト青木宣親外野手(39)が、5回2死満塁から左翼へ6号満塁本塁打を放った。39歳8カ月でのグランドスラムは、38歳8カ月の古田敦也氏を超える球団記録。チームはその4点を守り抜き、球団初の4試合連続0封で9連勝を飾った。記録ずくめの勝利で、30日にもマジック18が点灯する。

青木は、外角いっぱいのカットボールを逆らわずに振り抜いた。高く上がった打球はそのまま左翼席へ突き刺さった。「レフトは越えるなと思ったんですけど、まさかホームランになるとは。風の力も借りてという感じ」と自らも驚く一発だった。ダイヤモンドを1周すると、感情を爆発。両手を掲げて左右に振り、ベンチ前ではチームで流行している“フェラーリのポーズ”で喜びを表現した。

来年1月で40歳を迎えるが、体は変わらない。「まだズレみたいなのはない。痛みとかもないし、問題なくやれている」。ただ、今年はコロナ禍で濃厚接触者に2度認定。合計1カ月の自宅待機を経験し、状態がなかなか上がらなかった。今季は打率2割6分1厘と、納得はいかない。「監督も辛抱強く使ってくれた。ここ最近は納得のいく打席が増えているので、なんとか期待に応えたいといつもそういう気持ち」。直近10試合では、36打数13安打で打率3割6分1厘と好調。2番打者として、リーグトップの得点数を誇るツバメ打線を支える。

精神面でも立役者だ。18年、ヤクルトに復帰。声を出して仲間を鼓舞する姿勢が、後輩たちにも浸透した。この日の1回には、守備につく直前に「しっかり初回から入っていこう」と声がけ。前日は試合がなかったチームを、再度引き締めた。プレーでもベンチでもチームを引っ張り続ける。

ヤクルトのユニホームを着て12年目だが、15年のリーグ優勝時は大リーグのジャイアンツに所属。まだ、このチームでの優勝経験はない。“初優勝”が最大の目標。そのために、自分ができることをやる。「いろんなところでチームに貢献できるように」。強い信念がベテランの原動力となっている。【湯本勝大】

▼ヤクルトは早ければ30日にM18が点灯。29、30日にヤクルト○○の場合は阪神●●か●△。ヤクルトが○△の場合は阪神●●が条件となる。

▼ヤクルトは4-4で引き分けた14日阪神戦から9勝4分け。ヤクルトの9連勝は11年9月以来で、13試合連続負けなしは球団史上初。24日中日戦からは3-0、0-0、16-0、4-0で36イニング連続無失点。ヤクルトの連続イニング無失点は62年6月の39回があるが、4試合連続無失点は球団史上初めてだ。

▼9月は17日塩見、21日村上、26日山田、28日青木が満塁弾。チームの月間満塁本塁打は80年8月西武、96年5月近鉄の5本が最多で、4本以上は17年5月楽天以来11度目。ヤクルトの月間4本は初めてで、同じ月に日本人選手4人が打ったのは90年6月オリックス(松永、柴原、石嶺、小川)以来2度目。