<東京6大学野球:早大23-1東大>◇第3週第1日◇2日◇神宮

早大のエースがチームに今秋初勝利をもたらした。開幕2連敗で迎えた東大1回戦で、徳山壮磨投手(4年=大阪桐蔭)が6回1/3、散発5安打1失点(自責0)。今秋ドラフト候補右腕は右ふくらはぎをつり途中降板するも、冷静に変化球を交え、相手打線に的を絞らせなかった。打線は18安打23得点を挙げ、リーグ史上5度目の先発全員安打全員得点を記録した。

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立大に打ち込まれた2週間前の姿はなかった。徳山は「この前は直球が多くなり、スライダーがうまく使えませんでした。視野を広げて変化球でもカウントを取れました」と胸を張った。同じ失敗は繰り返せない。捕手の岩本と話し合った。変化球の割合を増やしつつ、時に直球をズバッと決めた。7回に1点を失った後、右ふくらはぎをつり降板したが、東大打線に連打を許さず8三振を奪った。

11日のドラフト前、最後の先発登板だった。「そこまで意識はしてませんでした。自分の持っている力を出すことだけ考えました」。これまでも、今できることに集中してきた。センバツV腕として前途を嘱望され、1年春から6試合に登板。だが、リーグ戦後に右肩を痛めていることが分かった。それからは、投げたら痛めるの繰り返し。「慌てずにやろうと」。地道なリハビリで、2年秋の先発3勝につなげた。

今春は、硬くなった神宮のマウンドに合わず、直球が走らなかった。夏の間、硬めのマウンドで調整した。「今年に入って苦しいことが多かったですけど、ラストシーズン。やってきたことは間違いないと、神宮球場をかみしめながら勝利に貢献したい」。140キロ台後半に戻った直球は、努力の証しだ。【古川真弥】