努力を重ねた男に、野球の神様がほほ笑んだのかもしれない。阪神島田海吏外野手(25)が、ラッキーなヒットで決勝点を演出した。

1-1の7回1死二塁。カウント2-2から3番手今野の変化球を引っ張った。一塁へのゴロに、心の中は「うわっやってしまった…」。そう思った直後、打球は一塁ベースを直撃。大きくはねて一塁手オスナのグラブの上を抜けた。

「ベンチの思いとファンの方の声援がああいう打球を生んでくれたと思います」。ベースに当たっていなければ、一ゴロで2死三塁となっていたところ。運を味方につけた適時二塁打は、値千金の一打となった。

2軍スタートの今季、鳴尾浜球場で毎日といっていいほど、平田2軍監督に言われてきたことがある。「上でやるために、今ここでしっかり力をつけているんだぞ」。その言葉に応えるように、2軍では打率3割4分4厘と打ちまくった。「そういう教えでやってきたことが、少しずつですけど、発揮できているのかなと思います」。ともに戦ってきた仲間のファーム日本一の朗報も力になったはずだ。

ラッキーボーイの一打に矢野監督は「ああいう1本のヒットがアイツの自信になってどんどん成長していく可能性を持っている。足でも勝負できるし、打つ方でも勝負していけるような形になりつつあるんで、どんどんチャレンジしてもらえたら」とさらなる成長を期待した。主力も伏兵も関係なしに、負けられない日々を戦い抜く。【中野椋】

◆島田海吏(しまだ・かいり)1996年(平8)2月6日、熊本県生まれ。九州学院では2年春に甲子園出場。上武大では3年夏と4年夏に大学日本代表に選出。17年ドラフト4位で阪神入団。176センチ、69キロ。右投げ左打ち。今季推定年俸900万円