ルーキー右腕が今秋最後のマウンドで快投を演じた。ノースアジア大(秋田)が岩手大を5-0で下し、リーグ戦を5勝1敗の暫定1位で終えた。先発した鎌田温音投手(1年=弘前学院聖愛)はテンポよく打たせて取る投球を披露。4安打7奪三振で「入学後初完封勝利」を飾った。

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鎌田がスコアボードに「0」を並べた。1回2死一塁で相手4番から空振り三振を奪い、「波に乗れた」と“快投劇”が始まった。右打者の内角に切れ込むシュートを軸に、凡打の山を築く。5点リードの9回1死では右打者のバットを折るなど、最後まで的を絞らせなかった。そして、この日の球数は90球。大リーグでは100球未満の完封勝利を“マダックス”と呼んでいるが、チームの優勝を左右するマウンドでそれを決めた。

投球を支えるシュートは高校時代の「決断」で身につけた。1年冬。弘前学院聖愛・原田一範監督(44)の助言もあり、上手投げから横手投げに転向した。フォーム変更から約3年。新たな武器として完全に習得し、「やって良かった」と笑顔を見せた。母校は今夏の甲子園に出場。後輩が躍動する姿をテレビで見届け、「自分も頑張らなきゃ」と奮い立たせた。

同大は全日程を終えたが、強豪の富士大や青森大などはリーグ戦未消化。結果次第ではプレーオフの可能性を残す。今季は24回2/3を投げ3失点。与えた四死球はわずか1つで、防御率1・09と抜群の安定感を誇る。登板機会があれば「今まで通り、野手の力を借りながら全員で守っていきたい」。相手打線を手玉に取り、チームを再び勝利に導く。【相沢孔志】