矢野虎が扉をこじ開ける。首位ヤクルトを0・5差で追う阪神が、23日から広島2連戦(マツダスタジアム)に臨む。残り3試合で3連勝してミラクル逆転Vにつなげたいところ。快勝した21日の中日戦では近本と高橋が負傷交代。土壇場で投打の主力に不安材料が出る中、矢野燿大監督(52)は総力戦で奇跡を起こすと誓った。

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勝つしかない。矢野監督は運命の一戦を前にリミッター解除を宣言した。「ピッチャーはつぎ込んだりしていくしかないんでね、うちは。総力戦で残り試合全部勝つしかない」。明日なき戦いとなるレギュラーシーズン残り3試合は、短期決戦のように惜しみなく選手をグラウンドに送り出す。

矢野スペシャルを連発する可能性もありそうだ。9日ヤクルト戦ではセットアッパー岩崎、守護神スアレスを「ダブルまたぎ」で起用。2投手で7回からの3イニングを任せた。あと3試合。展開次第では再び前倒し投入はあり得る。23日に先発する秋山についてもイニング数や球数次第では、翌24日以降にブルペン待機という選択肢もゼロではない。

前日21日の中日戦ではチームを引っ張ってきた近本が右太もも裏の強い張りを訴えて途中交代した。さらには高橋も左肘の違和感で、完封目前の9回に1度はマウンドに上がりながら降板。この日、甲子園で行われた投手指名練習に高橋の姿はなかった。近本についても23日広島戦の出場は不透明。緊急事態を全員でカバーするしかない。

広島2連戦を終えると、最終戦の26日中日戦は本拠地甲子園に戻る。リーグトップ13勝の青柳の先発が見込まれ、20日に先発したガンケルらのブルペン待機など総力戦にはあらゆる形が想定される。矢野監督は「まずは広島の初戦に全員でいくというところ」と力を込めた。勝ち続けて16年ぶりリーグVの道を開いていく。【桝井聡】