打たれた経験が生きた。プロ2年目のDeNA伊勢大夢投手がピンチを刈り取った。3点差の8回1死満塁。山崎康晃投手の後に登板した。ピンチの場面だったが「わりと冷静でした。一番怖い打者、ビシエドも控えているのかなと」と相手ベンチの出方をうかがう余裕があった。

石垣を三振、石岡を捕邪飛に仕留め、無失点に抑えた。「いい投手ならゲッツー取って帰ってくると思いますが、僕はまだそれができないので、1人1人抑えようとした結果が三振になりました」。山本祐大捕手のリードにも感謝した。山崎には「ありがとう。助かった」と声をかけてもらった。

3日の巨人戦、9日の中日戦での苦い経験が、心に余裕を持たせた。9回にセーブシチュエーションで登板したが、2試合連続でリードを守り切れなかった。「9回に投げさせてもらって、あたふたした」。最後を締めるという責任感に押しつぶされた。「特別なイニングだと分かっていたが、身をもって経験した。クローザーは後ろに人がいない状況を感じた。今日は打たれても人がいるので楽だなと」。この日はブルペンに三嶋一輝らが控えていた。

DeNAのクローザーは今季、三嶋で始まり、山崎へと受け継がれた。だが、山崎が3試合連続失点したことから、今度は流動的になった。伊勢は来季、抑えの座を狙う。「やるまでは、やってみたい感じだった。自分でつかまないといけない。空いているポジションなので、若手がしっかりガツガツいかないと。チームの底上げができるよう、プレッシャーをかけていければ」。大変さを実感した上で、あえて苦しいポジションに挑戦するつもりだ。【斎藤直樹】