“虎の青木”になって3割打ちます。阪神糸原健斗内野手(29)が11日、島根・出雲市の出雲ドームで「プロ野球現役選手によるシンポジウム『夢の向こうに』in島根」に参加した。同県出身の糸原は開星時代の恩師、野々村直通監督(69)と2年ぶりに再会。「3割バッターになってほしい」とエールを送られた。今季2割8分6厘だった糸原も「今年(優勝できず)悔しい思いをしたので、3割打って、チームを率先して引っ張っていければ」と力強く約束した。

元美術教師の野々村監督は「山陰のピカソ」の異名を持つ。2度一緒に甲子園に出た教え子の今季について「あの試合数(125試合)出るだけでも、それはもう大変だと思うよ」とたたえた。その上で「青木のようなバッターになってほしいね。ヤクルトの。小さくてもいけるような」と、日米2593安打の巧打者をお手本に進化を求めた。

糸原は青木と同じ左打ちで身長も同じ175センチ。青木は今季リーグ優勝に貢献し、日本シリーズでも活躍したように、39歳の今なお、抜群のバットさばきを誇る。恩師の激励に糸原も決意を新たにした。「来年はやり返すだけなので、しっかりやり返せるように頑張っていきたい」。今季はクリーンアップを含む5つの打順を任されるなど、器用に役割を変えられるマルチな男に、矢野監督がかける期待は大きい。来季はピカソの弟子が初の3割超えを果たし、17年ぶりリーグVの絵を描く。【前山慎治】

◆シンポジウム「夢の向こうに」 2003年(平15)からプロとアマの垣根を取り払おうと、毎年12月に開催されている「野球教室」。普段はプロアマ規定で禁じられている直接指導が許されている。島根県での開催は2006年(平18)に松江市の島根県民会館で開催されて以来15年ぶり。今回の参加選手は阪神糸原、巨人戸根、広島ケムナ、同森浦、DeNA田部、オリックス佐野如、ロッテ植田、同山口、楽天松井、日本ハム梅林。