これがドラ1右腕の絶品思考力だ! 阪神ドラフト1位森木大智投手(18=高知)が3日、高知・土佐市内で自主トレを公開し、今月上旬の入寮へ向け順調な調整ぶりを披露した。年末年始も無休でトレーニングを続け、大みそかはテレビ番組をスルーして机に向かってシンキングタイムに没入。体だけでなく頭と心も鍛え、プロの世界に飛び込む。

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森木が故郷の大地を踏みしめ、2022年のスタートを切った。小学生時代、高岡第二イーグルスで「一番練習して一番泣いた」という土佐のグラウンド。その空気は格別だった。

「思い入れのあるところで練習できて、これからも頑張ろうと思いました。うまくいかなくてふてくされて泣いたりしてましたし、とても思い出があります」

時を経て、阪神からドラフト1位指名を受けた最速154キロ右腕は体だけでなく、頭と心も鍛えられていた。この日行ったダッシュなどの「スプリントトレーニング」は、昨年12月に高知高のトレーナーから指導を受けたもの。導入するやいなや、森木の中に新たな感覚が芽吹きつつあるという。

「今までがむしゃらに腕を振って足を上げて走っていた。それが腸腰筋、肩関節に力を集約することで、力を入れなくてもスムーズに、足が勝手に進んでいる状態になってきた」

歩く時も胸を張り、両肩関節と股関節の4点に意識を集中。けが防止や出力アップが期待できる「チェックポイント」に気を張り、頭を使って汗を流した。

新年へ向け、心も整えた。大みそかはこたつでテレビ…ではなく、机に向かった。バラエティー番組そっちのけで約2時間。「考える人」となり、自身の投球映像を見返し、野球日記も読み返した。

「『パフォーマンスを上げるのはチームの勝利のため』みたいな、きれい事ばかり書いてましたけど、それが自分の本心なんだなと」と受け入れ、「『自分を愛し人を愛する』が今年のテーマ。自分を大事にすることでチームも大事にできる」とプロでも良い意味で“自分勝手な道”を歩む決意を固めた。今後もノートをつけ、日々の気付きや学びをインプットする。

年末年始はほぼ無休で体を動かし、頭もフル回転させ入寮準備はOK。「寅(とら)年でタイガースですし、巡り合わせがいい。モチベーションが上がっているので、この1年はやっちゃいたいと思います! どんどん勝ち星を稼ぎたい」。目を輝かせ、球春を待ちわびた。【中野椋】

○…森木は自主トレ後、高岡第二イーグルスの紅白戦に監督としてベンチ入り。背番号「20」のタテジマのユニホームに着替え、指揮を執った。ベンチで「ビッグボス!」と子どもたちから呼ばれ、思わず苦笑い。試合では「代打オレ」で打席に立ち、左越え二塁打。「全力で楽しんでいる姿を見たら、僕も堅苦しくやるより、楽しくやった方がいいと思いました。(二塁打は)新年早々、やっちゃいました(笑い)」。試合後はサインに応じ、タオルなどをプレゼントした。

○…森木が高知出身の大先輩、藤川球児スペシャルアシスタント(SA)との初対面を心待ちにした。藤川SAは2年連続で1軍、2軍のキャンプに同行することが内定済み。森木は「藤川さんの技術を少しでも聞いて、自分のものにできるものがあればしっかり選択していきたい。真っすぐの威力がまだまだ僕はプロで通用しないと思っているので、どういう風に(ボールに)力を伝えればいいのか聞いてみたいです」と「火の玉ストレート」の極意を直撃するつもりだ。