西武ドラフト1位の隅田知一郎投手(22=西日本工大)がストレートで大器の片りんを示した。

19日、埼玉・所沢の球団施設での新人合同自主トレで、2度目となるブルペン入り。ドラフト3位の古賀悠斗捕手(22=中大)を立たせた状態で、36球を投げた。直球にカーブ、スライダー、チェンジアップを織り交ぜた。「抜く変化球」の意識を重視していたが、周囲を驚かせたのはストレートだった。伸びは目を見張るものがあった。

「すごいよ」。「差し込める」。渡辺久信GM、潮崎哲也編成ディレクターら見ていたチームスタッフから絶賛された。直球の伸びを示す「ホップ成分」(重力の影響のみを受けてボールが到達した地点を原点とした時、回転数と回転軸による揚力の影響を受けてボールがどれだけ変化したか)はプロ平均で縦44センチ前後とされる。隅田は、それを大きく上回る数値をマークしていた。

その数字は非公表となったが、浮き上がるような球でバッターを力で押し切れる一流の域。捕手を立たせた状態とはいえ、期待値の高まるものだった。ボールを受けた古賀も「いい球が来ていた。僕もキャッチングを頑張らないといけないと刺激になりました」と感嘆した。

もっともドラフト4球団競合左腕は「田舎者なので、器械系はあまり慣れていない。これから勉強します」とあまりピンときていない様子。その上で「やっぱり(捕手が)座ってからが大事になると思う。座ってどうなるかを、これから見ていきたい」と足元を見据えた。今まであまり経験のなかったプロ仕様の硬いマウンドも「合うんだな」と好感触だ。多彩な変化球の評価が高かったが、真っすぐも非凡な可能性を示した。【上田悠太】