阪神藤浪晋太郎投手(27)は22年初実戦で変わり身を印象づけた。紅白戦で2回を2安打1四球で1失点。スローカーブを勝負球に使う新たな引き出しも披露し、「やりたいことはできた」と納得した。

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「梅野さんから突然サインが出て、ちょっとビックリした」。1回2死、3番ロハスを追い込むと、109キロカーブを内角に曲げた。面食らったR砲は力なく空振り。ここ数年は封印気味だった球種の可能性を広げ「あるぞと思わせるだけでも違う」とうなずいた。

1回は1番近本に直球が抜けて四球。それでも今年はすぐに力みを修正した。2番遠藤は3球三振、一塁走者近本はけん制球でタッチアウトに。最速152キロという数値以上に、丁寧なマウンドさばきに復活のヒントが詰まっていた。

2回は4番佐藤輝に外角直球を左翼ポール際芝生席まで運ばれた。オール直球で空振り三振を奪った1年前のリベンジを許したが、「打ったテルがすごかった」と動じない受け答えからも自信が見え隠れする。

1日主将も任され、練習前には“変革”と書き込んだTシャツ姿で熱弁した。

「変わることをやめるのは現状維持という名の退化。少し変わる勇気を持った人にチャンスは訪れる」

changeの「g」を「c」に変えたらchance-。原田マハの小説「本日は、お日柄もよく」でも登場したオバマ元米国大統領の名言は自身にも通ずるものだ。開幕ローテ争いへ、配球スタイルも「チェンジ」して「チャンス」をつかむ。【佐井陽介】

▽阪神梅野(藤浪のカーブに)「カウントも有利だったし配球の中では、ちょっと遊んでやろうという気持ちがいい方向に出た。(藤浪)晋太郎が味をしめてやってくれたらいいとサインを出した」

○…藤浪の投球に首脳陣も及第点を与えた。矢野監督は「ストレートに関しては、本当にいい形で投げられているボールが多かった」とした上で、今後について「変化球をどう絡めていくか、精度を上げていくか」と期待。福原投手コーチは「良かった部分、得たものが多い。(カーブを)ゾーンに投げられたのは収穫」と評価した。