巨人菅野智之投手(32)が、上原浩治氏を超えて球団史上最多となる8度目の開幕投手を“決定”させた。

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沖縄・那覇キャンプ最終日となった25日、初の実戦形式となるシート打撃に登板。丸に唯一の安打となる1発を浴びるも、打者7人に34球を投げ、2三振1四球。調整の順調ぶりを示した盤石のエースが1カ月後の開幕戦、3月25日の中日戦(東京ドーム)のマウンドをはっきりと見据えた。

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1カ月後の東京ドームのマウンドを、脳裏に浮かべた。菅野が初の実戦形式となるシート打撃で球場の視線を独占した。丸の2打席目、カットボールを右中間スタンドに運ばれるも、1度の降板を挟んだ再登板ではきっちりお返し。急きょ決まった、一塁走者を置いた実戦的なマウンドでも動じなかった。丸を追い込んでからこの日最速タイの144キロ直球で空振り三振に斬った。素早いクイックモーションで、4回中3回、二盗を刺した捕手岸田をアシストした。

「こんなもんです」と振り返るも、抜群の制球力は健在だ。左右関係なく、外角低め“ビタビタ”に直球を集めた。充実のキャンプを、最終日に高い再現性と安定感で示した。

6勝にとどまった昨季は、1月にMLB移籍を模索し渡米。満足な調整ができないまま、キャンプインと開幕を迎えた。今季は自主トレから自らの尻をたたき続けた。ブルペンではキャンプ合計600球以上を投げ込み。投球フォームの変更や、プレートの踏む位置の変更など、試行錯誤を重ねた20年、21年キャンプとは異なる。よりシンプルに、量を重視した投げ込みで体の「貯金」を積み重ね、状態を仕上げてきた。

桑田投手チーフコーチは「非常にいいと思います」と高評価。開幕投手については明言しなかったものの「3月1日に原監督に伝えたい」と決断を下した。

菅野の助走は始まっている。今季初の実戦登板は3月5日からのオープン戦、日本ハム2連戦(札幌)が見込まれており、開幕戦へ調整を進める。「(開幕戦で)投げるつもりでいますし、逆算してスケジュールも計算してもらっている。体調だけ気を使いながらやっていければ」。開幕を待ちわびるファンの期待は、エースがマウンド上で応える。【小早川宗一郎】

◆巨人の開幕投手 最も回数が多いのは上原(00~06年)と菅野(14~16、18~21年)の各7度。菅野が今年投げると上原を抜いて単独最多になる。また、勝利数の最多は別所(51、53、55、56年)斎藤雅(93~96年)菅野(14~16、20年)の各4勝で、こちらも球団記録を更新する5勝目が狙える。