西武に新星が登場だ!高木渉外野手(22)がロッテとの練習試合で2打席連続2ランを放ち開幕スタメンを猛アピールした。

これまでプロ通算2本、昨季は0本塁打だった男が大暴れ。赤い道具を身に着け、時折、飛び出す「っす」の口調も愛らしい、やんちゃな空気感ある若武者。高木渉とは何者なのか?

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真っ赤で統一されたバッティンググローブ、肘当て、レガーズはド派手に映える。茶色の髪に小麦色に焼けた肌。少しやんちゃな風格が漂う。そんな高木の存在感は、左打席に立つと、さらに増した。

イメージぴったりに? フォロースルー大きく豪快にフルスイング。まず2回1死二塁の第1打席。速球を逆方向のレフトへ。風も味方し、スタンドまで届いた。まだまだ暴れたりない。さっきは外角を打ったから、4回2死一塁の第2打席は「何となくインコースに来る気がして」。張ったヤマが見事的中し、今度はライトへ引っ張った。打った瞬間に分かる1発を振り返る言葉は「完璧っす」。その口調もキャラがにじんだ。

肝っ玉が据わっていて、何か大物になりそう。パッと目を引くような、赤いものを身に着ける理由は? 「それは単純に赤が好きなだけっす。白いユニホームだから、映えるかなという気持ち」と笑い飛ばす。17年ドラフトの育成1位で入団したが「プロに入ってからは、ほとんど赤が主体です」。自然と目立つカラーを好んでいた。 ちょっといかつく“オラオラ”にも見えるが、“コツコツ”も大切にする。意外に? 堅実な面も。座右の銘は「コツコツが勝つコツ」。ただ、誰に言われたかは「覚えてないです」と言うあたりは“らしい”。そして全部ではないが…思い出した。「たぶん、高校の先輩の誰かが言ってて」。言葉の主の記憶はよみがえらなかったが、その言葉だけは、ありがたく座右の銘に頂戴した。

理想も豪快だ。「柳田さんと吉田正尚さんを合わせて2で割った選手」という。憧れの理由をこう続ける。「柳田さんはホームランで、いうてもめっちゃ器用じゃないですか。吉田選手の打率、バットコントロール、出塁率、全部です」。まさに最強を追求する。

昨季までは「下にもぐってしまう癖があった」と体がぶれることが多かった。昨秋に就任した平石打撃コーチから「上からたたくぐらいの意識で(体を)回してみたら」と助言を受け、うまく回転できるようになった。「普通に結果が出て、うれしかった」。これまで左投手に苦手意識があったが、左腕の小島から打ったことも成長の跡だった。

外野手のレギュラー争いは熾烈(しれつ)。その中で2連発は大きなアピールになった。16日の紅白戦でも1発を放っていた。辻監督は「パンチ力は魅力」と目を細め「率を残せるバッターにもなってもらいたい」とも期待した。今、球界で赤のイメージがしっくりくるのは、BIGBOSSこと日本ハム新庄監督。ただ、「山賊打線」の赤武者もブレークの年となるかもしれない。【上田悠太】

◆高木渉(たかぎ・わたる)1999年(平11)12月6日、福岡県朝倉市生まれ。福田小3年からソフトボールを始め、南陵中時代は硬式の「球道ベースボールクラブ」でプレー。真颯館では2年夏に県大会4強。高校通算27本塁打。17年育成ドラフト1位で西武入団。18年オフに支配下選手契約され、19年6月6日広島戦でプロ初出場。182センチ、87キロ。右投げ左打ち。今季推定年俸650万円。

◆赤がイメージカラーの選手

◇川上哲治(巨人) 戦後の47年から「赤バット」を使用。大下弘(東急)の青バットとともに、プロ野球ブームの火付け役に。

◇柴田勲(巨人) 赤い手袋をはめてプレーしたことから、自身の代名詞に。塁上で目立つ赤でバッテリーに重圧をかけた。

◇新庄剛志(阪神) 闘争心が出ると阪神時代から赤を好み、赤のリストバンドを着用。日本ハム時代の愛車は赤いフェラーリ。昨秋の国頭キャンプ視察には上下赤のジャージー、赤いスニーカーで登場。

◇岩村明憲(ヤクルト) 赤色を好み、リストバンド、グローブやバットは赤を使用。メジャーでも赤バットでプレーした時期も。