ロッテは22日、佐藤奨真投手(23)を支配下選手登録したと発表した。背番号は育成時代の129から「64」に変更になる。

佐藤奨の最大の個性は「130キロ台の直球」だ。100キロ前後のカーブとの緩急。2月の練習試合では、早くも160キロ台連発の佐々木朗とのコントラストも鮮烈だった。

入団から1年少々。取材するたびに球速のことを聞いてしまっている。その回答を紹介したい。

 ◇   ◇     「ここ最近150キロを投げる投手ばかりの中で、自分は平均130キロ台で抑えてきて、遅くても抑えられることを証明したいです」(20年12月9日・入団会見)

「大学1年までは周りの速さにあこがれもあって、むきになって球速追い求めた時期もあったんですけど、ちょっと速くなって打たれ始めたので…」(21年1月、新人合同自主トレ)

「160キロくらいまで上げました。やっぱり、160キロは実際では絶対に無理なんで、夢の姿を」(21年8月のオンラインインタビューで、野球ゲームで自分の分身を作る際のこだわりを尋ねての回答)

「目に見えない数字、ベース板の強さとかを追い求めていったほうが1軍で投げる一番の近道なのかなと自分は感じます」(21年12月9日、契約更改)

「半分あきらめているというか。そこまで自分にも期待してないので(笑い)。他のところでやっていこうかなと。163キロですか? アニメみたいな夢のような数字ですね」(22年2月20日、ヤクルト戦で)

「1軍の打者でも緩急や間とかを使って、まっすぐで押し込めるなというのは感じ取れたので。そこが一番の収穫です」(22年3月、オープン戦を終えて)

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質問するたびに違う言い回しや切り口で、130キロ台を表現してくれる。特に考えた様子もなく、スッとさわやかに答えてくれる。頭の回転が速く、引き出しが多い。投球の肝に「間合い」「奥行き」を挙げる。ちょっとした会話からもその力を感じさせられる。

井口監督も先発左腕候補として起用し、オープン戦終盤はリリーフ起用。その対応力を買ってのことだろう。並みいる強打者たちから軽やかにアウトを重ねていくマウンドが楽しみだ。【金子真仁】