春の王者を懸けた戦いが始まった。東日本国際大が3-0で石巻専大に競り勝ち、昨春王者との開幕戦を白星で飾った。先発した最速147キロ右腕・大山凌投手(3年=白鴎大足利)が、6回を3安打無失点の好投。真のエースへ大きな1歩を踏み出した。昨春はコロナ禍の影響で出場辞退を余儀なくされ、一昨年はリーグ戦そのものが中止。3年越しの春舞台で1勝をつかんだ。

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大山が緊張感漂う開幕マウンドで責務を全うした。6回103球の力投。初回から3回までノーヒット投球。3安打無失点6奪三振の好投だ。最速140キロ台後半の直球に変化球を織り交ぜ、6回までスコアボードに「0」を並べた。「緊張感もあって、調子は良くなかったけど、0(点に)抑えられたことは良かった」と春のリーグ戦初登板を終え、安堵(あんど)の表情で振り返った。

一冬の成果が表れた。今冬は徹底的に体づくりに重点を置き、ウエートトレーニングで上半身を鍛えた。「上半身をメインに取り組んだ。出力が増して、全体的に球速が上がった」。球速は3、4キロアップ。直球は常時140キロ台中盤をマーク。積み重ねた努力が数値として表れた。回を重ねてもキレ、質が落ちることはない。昨秋のリーグ戦で2勝を挙げた右腕が、成長曲線を描き始めた。

チームの勝ち頭へ、改善すべき課題もある。4四球のうち2つは、カウント0-2、2-2と追い込んでからのもの。藤木豊監督は「0点に抑えたことは良かった」とたたえたが、期待しているからこそ物足りなさも感じた。「緊張もあって(大山の)いつものテンポではなかった。完封しなきゃいけない。少しアップアップしていた」と6回無失点の結果にも、あえて厳しい言葉をぶつけた。

チームを勝利に導く真のエースに上りつめる。大山は「0点にはこだわりたい。チームの優勝に貢献して最多勝を取りたい」とタイトル獲得も視野に入れる。19年以来の春のリーグ制覇を目指し、右腕を振っていく。【佐藤究】