社会人で成長しプロへの扉を開く。日本ハム佐藤龍世内野手(25)の弟で北海高出身の佐藤大雅捕手(22)が今春、富士大を卒業し社会人野球の強豪、鷺宮製作所入りした。昨秋ドラフトは志望届提出も指名漏れ。悔しい思いをバネに、まずはチームでレギュラーを勝ち取り、都市対抗でのアピールと、来秋のドラフト指名を勝ち取ることが大目標だ。昨季から地元球団に移籍し奮闘する兄を刺激に、新天地での飛躍を誓った。

少し遠回りしても、描いた夢はブレない。佐藤は1月から鷺宮製作所の練習に合流。2月に左手首と右肩を負傷も、既に復帰し3月の東京都企業春季大会では、初めて社会人チーム同士の対外試合に出場した。21日の日本スポーツウェルネススポーツ大学東京戦は9番捕手で初スタメンし、2打数2安打1打点で勝利に貢献。「まだまだここから。新たな環境で、もっと野球に向き合い、足りないところを補っていきたい」と、謙虚に話した。

1日でも早く兄に追いつきたい。兄龍世は昨季、西武から地元北海道の日本ハムに移籍。主に二塁でスタメン出場し、自己最多の117打席、打率2割1分9厘の成績で、オフに340万円増の推定980万円で契約更改した。北海高、富士大と、ずっと兄の背中を追い掛けてきたが、自身は大卒でのプロ入りを果たせなかった。「同じ世界でやりたい。兄の頑張りを見て、もっとやらなきゃという思いになれる。いいモチベーション。まずは社会人で信頼を勝ち取り、都市対抗出場に貢献し、来年のドラフトにつなげたい」と思い描いた。

自身が指名漏れした昨秋ドラフトでは、北海高同期で、ともに16年夏の甲子園決勝を経験した北海学園大・鈴木大和外野手(22)が巨人育成1位、川村友斗外野手(22)がソフトバンク同2位指名を受けた。育成指名の2人は、まず支配下に上がることがスタートだ。「僕は社会人からプロになれるように。2人は早く支配下に上がれるように。ドラフト直後に3人で一緒に頑張ろうと話した」。仲間との競争も刺激材料だ。

強打の捕手としてプロのハートをつかむため、必死で打撃フォームの改造に取り組んでいる。「社会人のトップレベルの投手相手にも、しっかりミートできるように。打率もスイングの強さも上げていかないと、上のレベルではやれない。そのために、細かく修正しているところ」。地道な努力の先に、光は見えてくる。【永野高輔】

◆佐藤大雅(さとう・たいが)1999年(平11)10月21日、厚岸町生まれ。厚岸真龍小3年で野球を始める。厚岸真龍中から北海高1年秋までは内野手。1年冬から捕手転向し、2年春の地区予選で背番号2でベンチ入り。2、3年夏は南北海道大会を連覇し連続で甲子園出場。2年夏は準優勝。富士大では1年秋、3年秋にベストナイン。家族は両親と日本ハム内野手の兄龍世、妹2人。北京オリンピックスピードスケート女子団体追い抜き銀メダルの佐藤綾乃はいとこ。右投げ右打ち。177センチ、78キロ。血液型B。

◆鷺宮製作所野球部 1958年(昭33)創部。都市対抗は15回出場し最高成績は17年の4強。日本選手権は11回出場し最高成績は05年の4強。輩出した主なプロ選手は元日本ハムの市川友也現巨人3軍バッテリーコーチら。本社は東京都新宿区で、グラウンド、合宿所は埼玉県狭山市。岡崎淳二監督(49)。