日本ハム加藤貴之投手(29)が今季初勝利を挙げた。12日西武4回戦(ベルーナドーム)に先発。緩急織り交ぜた配球で的を絞らせず、7回途中までを4安打無失点としっかり試合をつくった。中5日の登板も、持ち前のテンポの良さは健在。BIGBOSS体制で今季初の完封リレー&2連勝に貢献した。

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【ニッカン式スコア】12日の西武-日本ハム戦詳細スコア

苦笑いを浮かべていた7回2死一、二塁。2点リードもピンチを背負っていた加藤の元に、BIGBOSSが笑顔で歩み寄ってきた。「まだ投げさせてもらえるのかな…」と淡い期待を抱いていたが、グータッチのあとに「本当にお疲れさま」と右肩をたたかれた。中5日で臨み7回途中4安打無失点。四死球なしで、持ち味のテンポの良さ全開に投げ抜いた。

この日の“落差”は最大42キロ。140キロ前半の直球と90キロ台後半のカーブを操り、積極的に緩急を織り交ぜた。試合前練習中にバッテリーを組んだ宇佐見と最終確認。宇佐見は「加藤さんはストライク先行で、ゾーン内でどんどん勝負する投手。まとまり過ぎちゃうと、打者に的を絞らせやすくなる」と加藤の特長を引き出し、好投につなげた。

苦い記憶を塗り替えた。3月30日西武戦でもバッテリーを組み、5回まで1安打無失点も6回に一変。先頭から危なげなく2死を奪うも7連打を浴び、試合をひっくり返された悪夢があった。宇佐見は「自分も流れを止められないリードをして、加藤さんも投げ急いで甘いところを痛打された反省点があった。そうなりそうになったら、注意し合おうと話していた」。加藤は「宇佐見がいいリードをしてくれた」と感謝した。

魔の6回に挑む前には「次の回から集中していこう」と、どちらともなく声を掛け合った。勝負どころと踏み、流れを引き渡さなかった。今季初の完封リレーで、BIGBOSS体制初の連勝に導いた。「勝てたことがチームにとって良かったと思いますし、僕も今日はうれしかった」。ポーカーフェースの左腕が、1勝目を笑顔でかみしめた。【田中彩友美】

▽日本ハム新庄監督(初の2連勝)「松本君、加藤君、堀君に(話を)聞いてあげて」