日本ハム加藤貴之投手(29)が、100球未満で完封する「マダックス」達成で、今季2勝目を挙げた。異次元の省エネ投法で、わずか90球で完投。「野手の方のいいプレーもありましたし、宇佐見の配球も良かったです」。持ち味の緩急で楽天打線を手玉に取り、3安打1四球に抑えた。

【ニッカン式スコア】19日の楽天-日本ハム戦詳細スコア

序盤、味方の好守に助けられて波に乗った。相手が楽天の田中将大投手(33)ということもあり「長いイニングを投げることと、チームが勝てるように、テンポ良く投げようと思いました」。7回を終えて56球。唯一のピンチは、8回1死一、二塁。「自分でつくったピンチだったので、なんとか自分でアウトを取りたいと思って必死で投げました」と、踏ん張った。

昨季も10月に楽天生命パークで、プロ初完投勝利を無四球完封で飾った。敵地でのヒーローインタビューに「いい球場です」。いつものポーカーフェースが、ほんの少しほころんだ。

◆マダックス 100球未満での完封を意味する言葉として使われる。86~08年に大リーグのブレーブスなどで通算355勝を挙げ、殿堂入りした大投手グレグ・マダックスは、通算35完封のうち13度を100球未満で達成。抜群の制球力は「精密機械」と呼ばれた。球数で降板のタイミングを管理する現代の野球では、100球未満の完封が先発投手の理想になる。

◆加藤貴之(かとう・たかゆき)1992年(平4)6月3日、千葉県生まれ。拓大紅陵では甲子園出場なし。新日鉄住金かずさマジックでは野手転向後に投手に再転向。15年ドラフト2位で日本ハム入団。21年10月18日楽天戦でプロ初完封を記録。通算成績は161試合で35勝34敗、防御率3・58。182センチ、87キロ。左投げ左打ち。今季推定年俸7300万円。