右翼席に突き刺さった放物線は、ひたむきな努力の結晶だった。

日本ハム宇佐見真吾捕手(28)が、値千金の1発で“相棒”の完封勝利を強力援護した。0-0の2回2死一塁、楽天の先発、田中将の真ん中に入った2球目を、逃さなかった。先制の今季1号。「なんとかスタンドまで行ってくれという気持ちだった。入って良かった」。ベンチで迎えたBIGBOSSと、ハイタッチで喜びを分かち合った。

【ニッカン式スコア】19日の楽天-日本ハム戦詳細スコア

物腰が柔らかく、謙虚な努力家だ。プロ入り当初は「左の打てる捕手」が売り文句も、打率は1割台。今季は春季キャンプ中に新庄監督の指導を受け、打撃改革に取り組んでいる。ひたむきな努力の成果に「キャンプからずーっと最後まで残って練習して。その結果が、こういう大事な場面で出た」と、新庄監督の声も弾んだ。

4月12日西武戦(ベルーナドーム)でも加藤とバッテリーを組み、“あうんの呼吸”で山賊打線を7回途中まで4安打無失点と料理した。「いかに良い球を選択するか。加藤さんの良さを消さないために、カーブやシュートをうまく使えているのがいいのかな」。バットとリードで支えた陰のヒーローは、正捕手の座にまた1歩、近づいた。